Healing Discourse

ヒーリング随感4 第8回 波紋の身体

◎龍宮拳の成長・発達過程をムービーでご紹介しているが、せっかくご覧になるのであれば、ただ術者だけをみるのでなく、術者と被術者を同時に・相対的に観ると、もっと感・動できるから、是非お試しになってみるといい。
 そのようにすれば、術者と被術者(複数でも同様)との身体間に、直接タッチであれ、棒などを介してであれ、複雑な波紋が響き合い、次々形を換えていく様が観えてくる。
 要は、術者だけでなく、術者と被術者とを対等に、同時に、観ることだ。

◎先日、ワークステーション担当者が訪ねてきた折り、せっかくだから龍宮拳稽古の時間も少し設けた。
 その模様を撮影したので、一部お目にかける。
 最初のムービーは、龍宮拳の基本である波紋身を、以身伝身にて共鳴させているところ。
 腰スジをテーマとしてとりあげ、そこはどのように働くものなのか、私の腰スジに様々に・流動的に生じる動き(波紋)を、受け手自身の腰スジと響かせ合い、ダイレクトに感じさせている。

◎ヒーリング・アーツの世界では今やごく当たり前のこととなって、友人たちは誰も話題にさえしないが、ヒーリング・タッチの原理で人同士が触れ合った状態において、身体の各部分がそれぞれ個別に共振し合うという、面白い現象が生ずる。
 例えば、相手と掌同士でヒーリング・タッチしておき、私が自分の肘を(水圧が高まる感じで)軽く締め、その締めつけをふわあっと軽やかに粒子的に手放していく。つまり、凝集からレット・オフをかける・・・・と、相手は肘からとろけて、水になり、波打ちながら、崩れていく。
 ヒーリング感覚が開かれてきた者なら、あらかじめ何も知らされずとも、術[わざ]が肘から起こったことが、わかる。

◎いきなりまったく新しいヒーリング・アーツの術を受け、さて今の作用(マナ)はどこから来たかと問いかけられて、例えば「踵」と即答できるようであれば、相当高レベルの感性が、全身的にトータルに開かれているとみなせよう。
 龍宮拳修養者の中にも何人か、「時々そこまでできる」人たちがいる。
 あだしことはさておきつ、このように肘同士、腕同士、足同士、背中同士、腹同士といった特別な共鳴を、自らを開くことを固体的に拒絶する者以外であれば、老若男女だれとでも、私のこれまでの経験によれば、共有することができるのだが、これは身体各部は人類共通の固有の振動数を持つことを意味するのだろうか?
 私にはわからない。

<2012.03.09 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)>