Healing Discourse

ヒーリング随感4 第18回 学を絶てば憂いなし

◎インドの覚者OSHOの個人的蔵書は、宗教・哲学書や詩など15万冊に及び、彼はそのすべてに目を通したのだそうだ。体調を崩し主治医に止められるまで、毎日20冊の本を読んでいたという。
 OSHOは書籍を随分大切に扱ったようだが、それとまったく正反対に、私は今、どんどん本を捨てているところだ。
 希少な本も、寄贈された高価な本も、70〜80冊に及ぶ日本語訳のOSHOの本も、すべて・・・・投げ捨てている真っ最中だ。
 妻が紐でしばって束にしてくれた本を両手にぶらさげ、天行院裏手へと運んでいくのだが、うんざりするほど往復しても、まだ全然本が減った感じがしない。
 10畳ほどの寝室の一方の壁全部が床から天上まで書棚になっている他、「本と資料の部屋」が2つ、これらとは別に本棚がさらに2つある。それでも入り切らず大量の本が家中に散乱するので、これまで定期的に要らない本を処分してきたが、今回はほとんどすべての本をわが家から放逐するつもりだ。
 数十万冊の本を読んだOSHOが究極の本と呼んだスーフィーの「ザ・ブック(本)」と、私は出合った。それ以外の本は、もはや不要だ。

◎ザ・ブックとは、OSHOによれば全ページ白紙の本だ。あるいはこのように言い換えても良いだろう。それは私にしか読めない本であり、私以外の他者には白紙同様の(目に見えない)書物である、と。
 そのような究極の書を、私たち1人1人が生まれながらにして授かっているのだ。
 私は、「ザ・ブック」に書かれている内容を実践するとどんなことが起こるか、その一例を、自分自身が実験台となって、様々に示演しているところだ。それが、即芸術となり神明への奉納ともなる生き方を、ずっと続けているのだが、これが何とも面白い。
 岡本太郎の、「面白いねえオレの人生は。だって道がないんだ」という言葉に通ずる「面白さ」といえよう。
 ヒーリング・フォトグラフしかり。龍宮拳しかり。

◎龍宮拳伝授会(2012年度第4回)の模様をムービーにて。 
 まずは、喉にヒーリング・タッチされた状態で自由に術をかけていき、その間、一瞬といえども喉・首が力まないことを示す。
 続いて、喉を常に虚に保ちつつ、多数者相手に自在に武の舞を舞っていく様が写し撮られていく。今、私たちは初級者レベルを(悠然と)歩んでいる真っ最中なので、足幅を広げて態勢を低くしたり、わざと間延びしたようにゆっくりにしたり、動きを大きく拡大したり、そういう鍛練的なSTMが頻出するのだろう。
 各自の身体を調律すると共に、龍宮拳の武術フォーミュラをインストール・起動するための準備にもなっているようだ。
 いずれにせよ、「私(自我意識)」は一切関わってない。「私」には、こんなことなどできない。

◎名人、達人は歩幅が狭く、動きも小さいと昔から武術の世界ではいわれてきたが、龍宮拳も熟達後はそのようになるのかもしれない。
 私にはわからない。
 繰り返す。私は龍宮拳の創始者にあらず。
 単なる仲介者、あるいは書記なり。舞という言語を綴る者。・・・まあ、そんなところだ。
 ちなみに、私は名人、達人という言葉を、それを最初に用いた世阿弥の定義に基づき使っている。世阿弥によれば、名人の上が達人だ。

◎龍宮拳、というかヒーリング・アーツは、指1本1本で多数の人間を相手にできる意識状態を基本とする。

◎近作『金環食』。以前帰神撮影した素材を加工。

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◎大量の本を運んでいるうち、あきれたことに、捨てたはずの力がどんどん甦り始めた。
 重いものを持つのが楽しくなってきた。ブロック塀に体当たりしたり、高く狭いところでアクロバティックなポーズをとってみたり、あれこれやるのが楽しい。
 やはり老子が正しかったようだ。学を絶てば憂い無し、と。
 本を捨てれば捨てるほど、それが過去との訣別のイニシエーション儀礼となって、心も体も軽やかに、晴れ晴れしてくる。

◎昨年10月に仔猫マヤを迎えてから、・・・約8ヶ月! その間の時間感覚が、改めて考えてみるとまったく記憶にない。
 私の得意わざの1つである「時間崩し」は、こうした時間および空間の擾乱感覚に基づき運用される、極めてシャーマニックな藝[わざ]だ。

◎8ヶ月ほど「育児休暇」をいただいたことになるが、その間本ウェブサイトをご訪問くださった方々は皆さんよくご存知の通り、神々への捧げ物としての帰神フォト撮影と作品発表、そして全人類共通の遺産たり得る龍宮拳の伝授など、育児の合間に可能な範囲内で、精いっぱいヒーリング芸術活動にいそしんできた。
 やえむぐらのわが家の庭でも、ヒーリング・アーツ・モードに入れば帰神撮影の素材をいくらでもみつけられる。
 仔猫の日々の成長が、即、生命[いのち]の芸術の題材となる。

<2012.05.21 小満>