Healing Discourse

ヒーリング随感5 第9回 夢見草 高木一行

◎科学的手法に基づき新たに「宗教心理学」を提唱したウィリアム・ジェームズ(1842〜1910)は、宗教というものが退屈な習慣ではなく、むしろ激しい情熱であるような人物のうちにしか、根源的な宗教体験は見出され得ない、と述べている。
「・・・このような人物こそ、宗教界の『天才』なのである.他の多くの天才達が、その伝記の数々のページに永く記念されるに足る感銘深いくさぐさの果実を結んでいるように、彼ら宗教的天才たちも、しばしば神経過敏の兆候を示している。おそらく他のいかなる領域の天才たちより以上にさえ、宗教の指導的人物達は異常な心理の発作に襲われやすい素質をもっていたようである。」(『宗教的経験の諸相』より)
 ジェームズによれば、彼ら宗教的天才たちは決まって感受性が強く、たかぶりやすい感情を持つ人間であった。
「・・・しばしば彼らは調和を欠いた内的生活を送り、また、生涯のある時期には憂鬱に陥っている。適度というものを知らず、強迫観念や固定観念にとりつかれがちであった。また、しばしば恍惚状態に陥って、声なき声を聴いたり、影なき影を見たりなどして、ふつう病理的なものの部類に入れられるあらゆる異常な特徴を示している。しかも、その生涯にあらわれるそのような病理学的な特徴こそ、しばしば、彼らに宗教的権威と宗教的感化力とを与えているようなのである。」(同上)
 ジェームズが列記する諸々のファクターのほとんどが、見事に私に当てはまると友人・知人たちはうれしそうに指摘するのだが、つまり私には宗教における天才的素質がある?・・・・わけないか。

◎私たち夫婦の紅茶へのこだわりをよく知る友人の1人が、1872クリッパー・ティー社の紅茶をどっさり送ってくれた。シンガポールの本店からわざわざ取り寄せたそうだ。

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 以前、スリランカの空港でこの老舗店の紅茶を偶然買い求めたのだが、帰国後一口飲んだ瞬間、「紅茶とはこのようなもの」という既成概念が粉々に打ち砕かれ吹き飛んだ。ヌワラ・エリヤとアール・グレイ、それからジャスミン・ティーがとりわけユニークで素晴らしかった。
 日本で一般に売られているイギリス系紅茶とはまったくの別物と考えていただいた方がよいだろう。
 濃厚なのに、苦みや渋味があまり感じられない。熱帯アジアのひなびたおもむき。
 龍宮館では、紅茶をRSF(ロイヤル・ストレート・フラッシュ)方式で淹れる。通常よりも多めの茶葉を茶こしに盛り、熱湯をゆっくり注ぎかける。それだけ。
 これにモルディヴ流でエヴァミルク(無糖練乳)をたっぷり加え、、知る人ぞ知る広島名物、長崎堂の「幻のバターケーキ」と一緒にいただくのが、龍宮館の最近のハイティー・スタイルだ。
 ちなみにこのバターケーキ、以前は夜明け前から並んでようやく手に入れたものだが、最近店舗がリニューアルされて以来、ずいぶん入手しやすくなった。が、午前9時に開店して、昼前には売り切れ・閉店となることが多い。

第4回「うつぼ物語」を読んだ人から、「そんなにウツボがお好きなら」と伊勢名物・うつぼの干物が送られてきた。
 早速、ヒーリング・タッチでマナを込め、弱火でじっくり焼きあげた。
 せっかくだからと帰神撮影したが、どうも料理の写真が私は苦手だ。というより、食べることの方へ注意が向いてしまい、じっくり腰を落ち着けて撮影に専念することができない。

 ふてぶてしいまでのウツボの強い生命力がこもった独特の味わいを堪能した。
 N子さん、ありがとう。今度機会があったら、ぜひ「親密」になろう(読者諸氏よ、冗談じゃ)。

◎メキシコ・オアハカ州に住むチョンタル・インディオの人々は、病気や不運の原因を知りたい時、ザカテチチ(学名Calea zacatechichi)という草の葉を煎じて飲む。すると、夢の中で「お告げ」を受けることができるという。
 ザカテチチは「苦い葉」という意味で、そのハーブティーは私も以前飲んだことがあるが、猛烈、否、激烈に苦い。繰り返し実験するどころじゃなかった。
 が、龍宮館落成を記念して、昨年暮れにアメリカから送られてきたザカテチチは、あまり苦くない。これなら使えそうだ。
 苗から育て、葉が茂ってきたので、まだ少し早いとは思ったが、1回分を収穫してハーブティーを作り、妻が試してみた。
 象徴に満ちた印象的な夢をみたそうだ。
 ドリーム・ワーク(夢見の術)と組み合わせるなどして、今後、面白い活用法が開かれるかもしれない。
 挿し木で簡単に増やせる。

◎写真はアルコ・デル・ドゥエンデ(マジカルな弓の意)。ペルーの高名なシャーマン、アグスティン・リヴァス・ヴァスケス氏が、スピリチュアル・ドリンク、アヤワスカの世界で精霊より作り方を教わったというヒーリング・ツールだ。

 初めて手にした時、ヒーリング・タッチを心がけ、心を鎮めて向かい合っていると、使い方が自然にわかった。一方の端をある角度で唇にあて、弦をつまびくと、体内の空間で共鳴が起こり、玄妙な倍音が生じるのだ。以下のごとし(3D録音してあるのでヘッドフォンやイヤフォンで聴くのがベスト)。

 以前、激しい腹痛に苦しんでいる人に試してみたら、音が鳴っている間は不思議にも痛みが和らぎ、苦しみを忘れるというではないか。
 それならばとしばらく鳴らし続けているうちに、安らかな眠りに落ちていった。もちろん、ヒーリング・アーツによる各種のケアを施した上でのことだ。
 熟睡して目覚めた時には、痛みはほとんど消えていた。 

 

<2013.04.28 霜止出苗[しもやみてなえいづる]>