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高木一行
一連の煙精シリーズの、とりあえずは最終回である。この先、また煙を帰神撮影するか、否か、今のところ未定。
まもなくリノベーション工事(第1期)を終える龍宮館の玄関は、以前のような吹き抜けでなくなった代わりに、空間をより立体的にし、1つ1つ別々にオンオフできる照明を天井や壁のあちこちにたくさん取りつけたから(電気屋さんが悲鳴を上げていた)、さらに面白い煙精たちが顕われるかもしれない。
煙ばかりが延々と映し出され続ける煙精シリーズは、言うまでもなく世の人々を煙[けむ]に巻くため創作されたものだが、冗談はさておき、香煙の形に込めた熱烈な祈りに共感しつつ、ここまでずっとお付き合いくださった熱心な帰神フォト・マニアの方々に対し、深甚なる感謝を捧げるものである。
始めの頃は単体の香を焚いて帰神撮影していたが、やがてあれこれミックスするようになり、最初は「ダマール×ホワイトセージ×白檀」など、内容を細かく記録していたのだが、同じ香の煙でも帰神撮影時の気温、湿度、(窓から入る)風向きなどによりまったく別の形が顕[あら]われることがわかり、それ以来、一々中身を書き記すのをやめた。ブレンドAとかブレンドB、といった呼び名がついているものがそれである。
乳香がマレーシアやインドでも採れると知って驚かれた方もいらっしゃるかもしれない。ただし、オマーン産がBoswellia sacra(ボスウェルリア・サクラ)であるのに対し、マレーシア、インド産はB. serrata(ボスウェルリア・セルラタ:学名の読み下し方はラテン語に従った)だ。外見は小さく、白っぽくて、焚いた時の香りはオマーン産と比べるとよりパンジェント(辛味があって刺激的)、そして鼻当たりが粗っぽくざらついた感じ。
蛇足ながらエチオピア産の乳香は、B. carteri(B.カルテリ)。
<2012.09.11 草露白(くさのつゆしろし)>