Healing Sound

ヒーリング・ダイアリー1

11月23日(火) 不思議な音

 午前中、リビングでくつろいでいた時のことだ。
「面白い音がするから、聴いた方がいいんじゃないのかい?」と、ヒーリング・ディスコース執筆中の夫が2階から声をかけてきた。
「面白い音・・・?」
 私を書斎に迎えると、夫は新しく導入したばかりのMacセットの前に座り、姿勢を正し、かしわ手を打って、執筆を再開した。

「?????」
 
「面白い音」の正体は、夫の足から発するヒーリング共振のリズムだった。
 脚が細かく微震動して椅子を振るわせ、椅子と床が反響し合って、独特の軽快なリズムが打ち鳴らされていたのだ。「貧乏揺すり」ならぬ「福揺すり」とでも呼ぼうか。
 別にやろうと思ってやっているわけではなく、この日はたまたまそういう動きが自然に出てきて、音が鳴り始めたのだという。
 ヒーリング・アーツでは、こうした身体の自動運動現象を、STM(Spontaneous Tuning Movement)と呼んでいる。この場合のチューニングは、ヒーリングと同じ意味と考えて差し支えないだろう。

 こういう話は、実際にその音をきいてみないことには、なかなか実感が伝わりにくいと思う。そこで、夫の許可を得て、その「STM音」を録音してみた。

 ディスコースの中に、「書くことは即、舞なり」とあるが、それは決して比喩ではない。執筆中の夫の体は、さまざまに打ち震え、細かく波打つように動き、その有様は一般常識的な「舞」の範疇には、とうてい納まりそうにない。

 足から紡ぎ出されるリズムは、インド音楽のタブラ(太鼓)のように奔放かつ精緻だ。しかも、それを手でなく足でやってしまうところがスゴイ!

11月24日(水) 福揺すり

 昨日の簡易録音では、細かいところまではさすがに再現できなかった。そこで、あらためて天行院併設のプライベート・スタジオで録音し直し、それを素材として習作的に音楽を創作してみることにした。

 音を採りながら横でみていると、夫の体は普通ではあり得ないような細かさと速度で微振動している。しかも、貧乏揺すりのように脚だけが動いているのでなく、体の輪郭の中が全部水でできているかのように、全身すべてが隙なく波打っていた。

 普通、足をカタカタ鳴らされると、そばで聴いている方はイライラして嫌な気分になってくる。以前、モルディヴに向かう機中で隣り合わせになったインド人によれば、インド人は貧乏揺すりなしでは椅子に座れないのだそうだ(その人もずっと貧乏揺すりしていた)。
 ところが、夫の足のリズムはなぜか聴いていて晴れ晴れした気持ちになり、一緒にステップを踏みたくなるような爽やかさがある。まさに「福揺すり」である。

 あらたに録音し直した音素材に、太鼓の演奏やシンセパッド(電子音)をいくつか即興的に重ね、7分弱の楽曲ができあがった。
 名付けて、『福揺すり』。
 太鼓もシンセパッドも、STMを誘発し、何も考えることなく手が自動的に動くまま、即興で演奏していった。 

(『福揺すり』より部分収録)

 できあがった曲を何度か聴いているうち、面白いことに気づいた。どうやら、この曲には顕動(全身の統一的振動)を誘発する作用があるらしいのだ。
 水を入れたコップなどを持った状態で『福揺すり』を聴くと、腕の内部から振るえが起こってきて全身に波及していく。慣れれば、てのひらの中心(労宮)に軽く力をこめるだけで、同様の現象が起こる。
『福揺すり』を聴くたびに元気が出てくる。聴きながら霊子顕動法を練修すると、まったく別次元の奥深い振動が発生する。
 こうした作用を夫にも確認してもらったが、他の人にも同じ効果が現われるものかどうか、これからいろいろ実験してみようと思っている。 

11月26日(金) 禊マッサージ

 普段耳を使いすぎる傾向にあり、今日はとくに耳が充血して、かすかに重さと痛みがあった。
 椅子に座って『福揺すりを』聴いていると、耳のことなど何も言ってないのに夫の手が後ろからやさしく伸びてきて、耳にたっぷり禊マッサージをしてくれた。
 
 人間の耳(外耳)というものに対し、かくも「複雑精妙」に働きかけることができるという事実に、まず驚嘆する。
 つまみ、こね、ひっぱり伸ばし、レット・オフをかける。ひっくり返し、ねじり、閉じ、開く。
 両耳の穴をふさいだ指から超微細な顕動が起こると、頭骨の中が振動でいっぱいに満たされ、もう何も考えられなくなってしまう。

 耳への禊マッサージによって、音の聴こえ方がみるみる変わっていく。
 くもりが風に吹き払われるように、音像が鮮明になる。
 それまで感じていた耳の重さや違和感が気持ちよさの波に溶かされていき、頭の重さも消えうせ、視界までスッキリしてきた。
 終わってみると、『福揺すり』の音が、身体の内側にしみこんでくるようになっていた。ただ聴くだけでも爽快になる楽曲だが、ヒーリング効果が倍増していた。

 夫によれば、「耳が開放されれば、身体内に起こるヒーリング感覚を<聴く>こともできる」という。鼓膜に起こるヒーリング波紋を触覚と聴覚で同時に感じている状態、とのことだ。

12月6日(月)『福揺すり』の感想 

 11月24日のダイアリーでご紹介した『福揺すり』を聴いた人たちから、さっそく以下のような感想が寄せられた。

 ・・・・・

◎スピーカーのボリュームを上げ、『福揺すり』を聴かせていただくと、すぐに全身が内側から音に叩かれ、振るわされているような感覚が生じてきました。身体各部の中心が活性化され、それが自ずから響き合うようで、何かに突き動かされるような感覚が全身を駆け巡ります。
 霊子顕動法を行なうと、楽曲によって生じた感覚に導かれるように余分な力が抜けてスムーズな動きが顕れ、普段自分1人で行なうのとは異なる滑らかさ、全身が活性化される感覚がありました。
『福揺すり』を聴かせていただきますと、認識を根本的に改める必要があるのでは、と思わずにはいられません。普段自分が机に座って何かを行なう時も、身体が固定された姿勢を保つものと仮想して、相当固めてしまっていると感じました。<R.S. 男性・神奈川県>

◎高木先生のSTMによる音が打楽器の音にしか聴こえないことに驚き、美佳先生がタブラのようだと書かれてましたが、その通りだと思いました。その細やかなリズムがどのようにして紡ぎ出されているのか、実際に拝見してみたいという気持ちにもなりました。
 また、霊子顕動法を『福揺すり』の音楽を聴きながら練修してみると、確かに身体の奥深くから繊細な顕動が起こってくるのが分かり、1回行なっただけで、驚くほど心身が清々しくなっていました。1曲を通して聴かせていただける日がとても楽しみです。<N.S. 女性・神奈川県>

◎新たに始まった美佳先生の「ヒーリング・ダイアリー」を拝読させていただいております。最初の高木先生ご自身の「STM音」を聴かせていただいたのですが、音にリズムや高低のバラエティがあり、本当に皮を張った太鼓を打っているような音もあり心の底からウキウキする響きとなっていました。全身を揺さぶる動きが誘発されるリズムに、思いがけないタイミングでこちらの奥底に大きく響く音が打ち込まれ、とても音楽的でマジカルな感覚でした。
『福揺すり』も聴かせていただくと、曲が肌から裡に染み渡り、光で照らされるように明晰に覚醒する感覚が生じました。そしてその澄み渡った所に、リズムが響いて波のように重なっていくようでした。<K.M. 男性・山口県>