Healing School

Artemis〜アルテミス〜

1. アンコール・ワット 9:04
2. バイヨン 7:57
3. バンテアイ・スレイ 7:15
4. タ・プローム 6:56
5. ニャック・ポアン 6:05
6. アルテミス 8:54
7. 太霊道神教春季祭儀奉讃歌 3:39

1〜6 : 作・編曲、演奏/高木美佳
7 : 作詞・作曲/田中守平
編曲・演奏/高木美佳
使用楽器/ディジュリドゥー、ニシキ蛇のドラム(カンボジア製)、ヴァイカウント・オルガン、マリンバ、ヴィブラフォン、YAMAHA TG500、E-MU Proteus Orchestra、YAMAHA MOTIF-RACK 他

ラベル・デザイン/佐々木亮

曲目解説

高木美佳

「アルテミス」は、女性的な質をセレブレート(祝福)する女神シリーズ第2弾として、2002年に初リリースされたアルバムです。全曲をリアレンジ、リマスタリングし、まったく新しいアルバムとして生まれ変わりました。

アンコール・ワット

アンコールワット写真

アンコール・ワット

アプサラ像

アンコール・ワットのアプサラ像

 カンボジアが誇る世界屈指の大石造寺院「アンコール・ワット」。数々の寺社や建築物が広大なジャングルの中に星座のように散らばるアンコール遺跡群の中で、最も重要かつ有名な場所の1つです。東南アジア最大級のこの大伽藍は、ヒンドゥー教の影響を色濃く受けたクメール神話の宇宙観を、地上にシンボリックに投影しようとする試みであったといわれています。

 アンコール・ワットの中を一歩一歩進んでいくうちに、ヒンドゥー神話の世界に迷い込んでしまったかのような錯覚にとらわれてしまいました。かつてクメール王が参拝し、神々に祈りを捧げたおごそかなヴァイブレーションが、今もこの場所には残っています。
 まるで道案内のように神殿の各所に立つ数多くのアプサラ(天女)像は、当時神殿に仕えていた巫女たちをモデルにしたといわれています。一体一体が個性的で美しく、誇らかに突き出されたあらわな乳房は、当時のクメール女性たちの性的奔放さをも示しています。
 アンコール遺跡巡礼からしばらく経ったある日、カンボジアで手に入れたニシキヘビ皮の太鼓を何気なく叩いていたら、その音程がとても面白いメロディーを奏で始めたので、すぐさま五線紙に書き留めました。それが、この曲の主題となっています。

バイヨン

バイヨン写真

バイヨン寺院の四面仏

 アンコール・ワットの北に位置するアンコール・トムは、周囲12キロの濠に囲まれた巨大な宗教都市です。かつて象戦車部隊が地響きをとどろかせてこの街を闊歩し、観世音菩薩の四面仏尊顔を祀る寺院「バイヨン」が中央からアンコール・トムの全領域を睥睨(へいげい)しています。
「クメールの微笑み」と呼ばれる美しい四面仏群を前にして耳を澄ますと、仏たちが唱和する読経の声が今にも聞こえてきそうです。
 この曲の主題は様々な音程のハミングと、低音部で響く「H(シ)」と「D(レ)」の音がベースとなっています。

バンテアイ・スレイ

デヴァター像

バンテアイ・スレイのデヴァター像

 アンコール・ワットから東北へ35キロほど進むと、クメール美術の最高峰と謳われるバンテアイ・スレイ寺院が迎えてくれます。「女の砦」を意味するこの寺院の美しさは筆舌に尽くしがたいほどです。薔薇色の砂岩で作られた寺院全体は驚くほど繊細なレリーフで覆い尽くされ、「東洋のモナリザ」と讚えられるデヴァター(女神)像が、そこかしこで微笑んでいました。
「女たち」、「美」、「薔薇色」・・・、バンテアイ・スレイで受けた様々なインプレッションが織り重なってできた曲です。

タ・プローム

タ・プローム写真

 森の中にひっそりと佇(たたず)むタ・プローム寺院は、打ち捨てられていた長い歳月の間に、巨大な榕樹の根が大蛇のように絡みつき、崩壊寸前の状態です。熱帯植物の生命力に圧倒されるこの光景は、不思議にも寺院の荘厳さをかえって引き立てていました。

ニャック・ポアン

ニャック・ポアン写真

ニャック・ポアン中央祠堂

 ニャック・ポアンとは、「絡み合う蛇」を意味します。その名の通り、池の中に浮島のように建つ祠堂の周りを、2体の竜蛇神がグルリと渦巻き状に取り巻いている、一風変わった形の寺院です。これはヒマラヤ奥地にあるとされる、一切の病をいやす力を秘めた神秘の湖をかたどったものといわれています。私が訪れた時は乾季で、池の水はすっかり乾いていましたが、裸足で寺院に沿ってグルグル歩いてみると、力強く温かいエネルギーが感じられました。かつてクメールの民の病をいやすために、この寺院が建てられたことに深い感慨を覚えます。
 2体の竜蛇神を表わす2つの旋律が、ヴィブラフォンとマリンバによって交互に絡み合うように奏でられます。

アルテミス

アルテミス像写真

アルテミス像(エフェス博物館収蔵)

 新石器時代のアナトリア(現トルコ東部)を起源とする大地母神崇拝は、やがて豊饒を司る女神キュベレー信仰へと発展していきました。彼女はあらゆるものの母であり、強力な支配者であり、メソポタミア、エジプト、アラビア、さらにスカンジナビア地方にまで強大な影響力を振るったとされています。何千年もの展開をみた後、女神はアルテミスとよばれるようになります。「森の守護者」、「獣達の女主人」、「冥界の女王」、「月と狩りの女神」・・・・あまたの名前を持つアルテミスは、女戦士アマゾン族が崇拝した女神でもありました。
 エフェス(現トルコのエーゲ海沿いの街)に残骸が今も残る「アルテミス神殿」は、その壮麗さと巨大さで古代世界七不思議の1つに数えられ、当時は地中海世界のあらゆる場所から人々がこぞってこの神殿へ参詣に訪れたそうです。
 母なる女神の野性的な力強さと、大自然すべてを統(す)べる底なしの許容力、そして生と死を司る厳しい母性の一面など、母神としての力をあますところなく体現した偉大な女神、それがアルテミスです。

→試聴する(約1分)

太霊道神教春季祭儀奉讃歌(たいれいどうしんきょうしゅんきさいぎほうさんか)

田中守平写真

太霊道開祖・田中守平(1884〜1928)

 20世紀初頭、日本全国を席巻し、そして人々の記憶から急速に忘れ去られていったスピリチュアル・ムーヴメントがありました。その名を「太霊道(たいれいどう)」といいます。太霊道創始者の田中守平(たなかもりへい)は、岐阜県恵那(えな)山中における90日間の断食修業等を通じて、精神と肉体を超越する根源的作用を悟得したと伝えられています。彼はたぐいまれなるヒーラーとして、病に苦しむ数多くの人々を救うとともに、心身錬磨の方法論を太霊道として組織化し、それを人々と分かち合うことに心血を注ぎました。太霊道のメソッドは、後の様々な能力開発法、ヒーリング法、新興宗教、そして中国の気功にまで多大な影響を与えたといわれています。ヒーリング・アーツにおいても、太霊道は超意識世界の扉を開くための重要な「鍵」の1つとして尊ばれ重んじられています。
 主旋律の美しさを引き出し、なおかつ邪魔をしないように、伴奏はシンプルなアレンジを心がけ、歌は約100トラックの多重録音により大合唱風に仕上げました。

→試聴する(約1分)

〜太霊道神教春季祭儀奉讃歌 歌詞〜

 作詞作曲/田中守平
靈光(みひかり) 地に遍(あまね)く
ものみな 甦(よみがえ)れリ
春の陽(ひ) 麗(うらら)にして
ひとみな 力に充つ
つとめん 神業(みわざ)のため
讚えん 大御神(おほつみかみ)

靈愛(みめぐみ) 地に洽(あまね)く
ものみな 霊息(みいき)に生く
春の氣(き) 朗(ほがら)にして
ひとみな 愛(めぐみ)に満つ
つとめん 靈旨(みむね)のため
讚えん 大御神

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