巡礼最終日。
 奥西表の仲良川なからがわを、チャーター船で遡った。
 水面のところどころに浮かんでいるのは、夜に咲き、朝には落ちるサガリバナの花だ(ちょうどサガリバナの開花時期だった)。

水面に浮かぶサガリバナ
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 蛸足の気根が絡むマングローヴ林が終わるあたりから、川幅はぐっと狭まり、両岸から緑の大波が幾重にも重なり重なって覆いかぶさるように、植物たちがわっと立ち上がってくる。

 それが水面にクリアーに映り、この世とあの世、2つの世界が互いを映し合っているみたいだ。
 海の彼方のニライカナイは、また根の国・底の国(地下世界)でもあるという。

 スライドショーを観照する際、水面の境界を、横(水平)ではなく、縦(垂直)の中心線として意識すれば(時折、首を傾けて観るのも面白い)、植物のパーツでできた神話的な顔や姿などが、トーテムポールのように重なり連なって観えてくる。
  
 仮面をつけ、草木の葉でよそおった巨人。仮面草装の神のモチーフは、琉球列島の島々で様々に姿形を変え、古くから伝えられてきた。悪石島のボゼ、宮古島のパーントゥ、石垣島のマユンガナシ、そして西表島、新城島あらぐすくじまのニイルピトゥ(アカマタ、クロマタ、シロマタ)などだ。
 集落の祭に出現するこれらいにしえの神々の、唯一無二ともいえるユニークな造形デザインが、一体どこから発想されたものなのか、文化人類学や民族学ではいまだ不明とされているようだが・・・・、今、目の前にある「これ」こそが、(シンプルかつ呪術的な)答えなのかもしれない。
 西表島巡礼の旅は、こうしてクライマックスを迎えた。
 
 天界、地界へと通じる生命いのち割れ門スプリット・ゲート。それは、ヒーリング・ネットワークで言うレット・オフ(神経的反転術)の端的なシンボルでもあり、これと似たような光景が連続するボルネオ・キナバタンガン河にて巡礼中(2010)、ヒーリング・フォトグラフ(帰神撮影術)の<道>が新たに拓かれたことも、今にして思えば「必然」だったのかもしれない。注)

帰神スライドショー DAY 8

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<2021.08.01>

注)2010年度のキナバタンガン河巡礼と、その際帰神撮影した初のスライドショー作品については、ヒーリング・ネットワーク1の『ヒーリング随感2第18回第22回を参照。