海
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 港のそば、阿嘉島と慶留間島げるまじまを渡す阿嘉大橋の上から帰神撮影。手前に大きく映り込む斜めの影が阿嘉大橋。

シロタスキベラ

 こちらはシロタスキベラのオス。白っぽいメスも撮りたかったが、姿をみかけなかった。

海蛇

 2頭のウミヘビがすれ違う。が、互いにまったく無関心の様子。よく似たウミヘビが沖縄の海には何種類もいるので、同種なのか別種なのかすら、わからない。
 私は蛇という生き物に魅せられているので、今回ウミヘビに大接近していろんな角度から帰神撮影できて楽しかった。ずっと一緒にいるとよくわかるが、ウミヘビというのは驚くほど息が長い。ウミガメですら、数分に一度は海面に上がって呼吸するというのに、ウミヘビときたらいったいいつ息継ぎするのか、水面でいつまで待ってもあがってこない。・・・と思ったら、海底の岩陰でのんびり昼寝していたりする。

チョウチョウウオ

 警戒心が非常に強く、普段はカメラを向ける前にさっと逃げ去ってしまう色鮮やかなチョウチョウウオも、毎日海を訪れて巡礼し、海と完全に一体化したと感じるほどに瞑想意識が深まってくると、人なつこそうな快活な態度で近寄ってくる。
 私の周りにつきまとい、ついにはカメラを面白そうにのぞき込んで、自らポーズを取り始める始末。こちらをちらちらうかがう目つきが可愛い。
 ところで、このトゲチョウチョウウオの模様というかデザインを、じっくり「観て」いただきたい。
 観の目で心静かに向かい合おうとしても、ゆらゆら「世界が」揺らぐように感じてやりにくいことだろう。
 観の目とは元々、狩猟者ハンターの目付け法であり、観の目の要点が「まばたきしたり、目を動かしたり、一切しないこと」にあることを思えば、狩られる者が狩る者の目を惑わし、視点を揺らがせて観の目を崩そうとすることが、こうした体表デザインの基礎コンセプトとなっているのかもしれない。

ゴマモンガラ

 こちらへ突進してくる重戦車みたいなゴマモンガラは、フレンドリーなわけではなく、撮影されるのが鬱陶うっとうしくて威嚇いかくしているのだ。警戒すべき相手であることは、目に宿る凶暴な光を観れば一目瞭然であろう。
 卵を守っているメスならば、迷わず攻撃を仕掛けてくるから要注意だ。スクーバダイバーがフィン(足ヒレ)をかじり取られたとか、噛みつかれて重傷を負い病院に運び込まれたとか、物騒な逸話に事欠かないこの魚を、サメなどよりよほど危険、と断ずる人は少なくない。
 写真のゴマモンガラは、体長50センチくらいあった。以前、このサイズのゴマモンガラに、ゴムチューブで発射する手銛を至近距離から打ち込んだことがあるが、かすり傷一つつけることができず、あっさりはじき返されてしまった。
 自慢の歯や背中の強大なトリガー(背びれの一部が進化したもの)、金粉をまぶしたように光るいかにも頑健そうな金属質の胴体、などを次々見せつけるように超接近してくるかと思えば、ぷいっと背を向けどこかへ泳ぎ去った、・・と油断させておいて、別の角度から猛烈な勢いで突っ込んできたりする。

シマタレクチベラ

 分厚い唇のシマタレクチベラ。この個体は、シメジ類の魚とペアを組み、ずっと一緒に泳ぎ回っていた。
 21世紀に入り、ハタとタコ、ハタとウツボなど異種の生物同士が協力し合って狩りをすることが発見されたが、海の生き物たちは我々が想像するよりもはるかに親密に、種を超え互いにコミュニケーションを取り合っているのかもしれない。

テングハギ

 両目の間ににょきっと生える1本ヅノも凄いが、尾のつけ根に左右2つずつ配された真っ青なトゲ、そして胸びれのつけ根にさりげなくあしらわれたオレンジなど、マニア心をくすぐるデザインセンスの良さが光る、テングハギ。この個体は、身体の一部の色が抜け白っぽくなった色彩変異。

セグロチョウチョウウオ

 こちらはセグロチョウチョウウオ。先ほどのトゲチョウチョウウオと共に、私が特に好きなチョウチョウウオだ。
 この模様、このデザイン・・・これはもはや、生命のメッセージを物語る芸術作品にほかならない・・・もしも、あなたが、そのように感じるとしたら、あなたもきっと龍宮の民の1人に違いない。

シマキンチャクフグ

 大人の手の親指よりも小ぶりな、シマキンチャクフグ。面白いことに、これと一見見分けがつかないほどよく似たのがカワハギの仲間にいて(ノコギリハギ)、毒のあるフグに似せ擬態しているのだという。写真を比べたら面白いと思ってノコギリハギも探したのだが、今回は出会えなかった。

海

 海でたっぷり遊び、帰神撮影した帰路、最初に訪れた阿嘉大橋に再び立った。
 潮が大分引き、白い砂州が現われている。このあたりの、ほとんど超自然的といっていいような青の色合いは、阿嘉島やその周辺の島々の中でも特に際立って独特だ。
 長年阿嘉島で暮らし、しばしば海へ出るという人がボートの上でいわく、「毎回ここを通って海へ出るたびに、この美しい色に感動する」、と。

帰神スライドショー3

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<2021.11.25>