クラカケモンガラ。自然環境保全の指標となる小さなテングカワハギや、巨人ゴマモンガラ、海の道化モンガラカワハギなど、慶良間の海ではいろんなカワハギの仲間と出会えるが、いずれもユニークで本当に魅力的だ。
センジュガイ。全身にたくさんのトゲを生やした小さな巻き貝の一種。
ダツの仲間、オキザヨリ。昼間はまったく無害だが、日が沈むと一転、危険な存在と化す。ダイバーや潜り漁をする漁師の水中ライトめがけ、猛烈な勢いで突っ込んでくるのだ。鋭くとがった頑丈なあごが突き刺さり、大けがを負ったり・時に死亡したりする事故が、今でも時折起こっている。ヘッドライトをつけたまま舷側から海をのぞき込んだ釣り人が、海中から飛び出してきたダツに刺されるケースもあるという。
とはいえ、(注意を怠らず、ルールを守りながら)普通に海で遊んでいて、ダツやゴマモンガラに実際に襲われるなど、まずあり得ないだろう。自然への敬意を忘れず、「お邪魔させていただく」という気持ちで平和的に訪れる者に対し、美しく神秘的な世界を海は開示してくれる。やみくもに怖れるのでなく、自然に対する謙虚な態度・姿勢を学ぶこと、それが私たち人類が取り組むべき喫緊の課題だ。
いつものように集落外れのヒズシ浜を訪れ、夕景を帰神撮影しようとしたら、この日は雲の様子が何か違う。
身体と精神を龍宮道モードで統一し、天地自然の呼吸を自らの内面に通わせつつ静かに観守っていると、やがて雲が龍の形をとり始めた! 頭部の細かい造形も凄いが、螺旋状に渦巻く胴体も面白い。
海面から差し込む太陽の光が、海底に複雑な編み目模様を描いて踊る。これを、集光模様と言う。実際にはどんな感じなのか、動画を撮ってきた。
私がこれまで発表してきた海中写真は、撮影したデータを現像・編集する過程で色彩やトーンを補正し、自然な色合いを再構築している。
また、海面近くや水深の浅い場所は特にそうだが、海で写真撮影するというのは、常に波に揺さぶられ続けながら撮ることを意味する。一瞬たりと静止しない、そのさ中に、息を止め・目を観開きつつ、動中の静を「斬り撮る」のである。
命を奪う武術のわざを、命と共感し合い・表現するために活用する。それが帰神撮影だ。
帰神ムービー 『コースティクス』 帰神撮影:高木一行
帰神スライドショー8
高画質版 :
<2022.01.06>