ここ数年で、音楽の楽しみ方は大きく変化しているようだ。
インターネットを通じて音楽をダウンロードできる配信形式が、これまで主流だったCDを越える勢いで普及してきている。たくさんの音楽を手軽に楽しむには、この方式はとても便利で実用的だ。
しかし、ファイルの容量を少なくするため、CDよりも音質が大分劣化している。それが当たり前になってしまって、気にもしない人が多いようだが、もっと繊細で複雑で奥深い音楽体験があるのに、それを逃すのはとても惜しいことだと思う。
ちょっと専門的な話になるが、CDは16bit/44.1KHzのサンプリング周波数を持つ。この「サンプリング周波数」が大きいほど、音に含まれる情報量が多いことになる。
CDに対し、DVDは24bit/96KHzのサンプリング周波数があり、これはCDの2倍、細やかに再生できることを意味する。
DVDを映像媒体としてではなく、音楽媒体として活用できないか? そのように夫が言い出した時、音楽の歓びをもっとディープに分かち合うメディアがごく身近にあったことに、私は初めて気づいたのである。
数ヶ月前、天行院で行なわれたヒーリング相承会の際、ヒーリング楽曲『伊勢神宮』(未公開)を、参加者の方々にCDとDVDそれぞれの音質で聴き比べていただくという実験を執り行なった。以下は、体験報告の一部だ。
・・・・・・・・・・・・・・・
◎仰向けに寝転びながら、CDで『伊勢神宮』を聴かせて頂いた時は、上から音楽が放射されている感覚でしたが、DVDで聴かせて頂いた途端に、上からだけでなく、床下からも聴こえてきて、音楽に包みこまれているような感覚になりました。
再度CDで聴かせて頂くと、途端に一方向の平面的な聴こえ方になり、音楽の情報量、空間性の違いをはっきりと感じました。(大阪府 Wさん)
◎CDとDVDの違いは、明らかで、CDを聴いた後に、DVDを聴くと、圧倒的な繊細さ、スケールを直ちに感じます。情報量の差がこれほどあるとは想像できませんでした。CDに比べ、DVDはより立体的、多層的に、心身に沁みこみ、深く作用していくように感じられました。CDではここまでの作用を感じることはできませんでした。<東京都 Kさん>
◎CDからDVDへ音楽が替わると、一つ一つの音がより細やかな粒子で濃密に構成されている感じになり、スピーカーが鳴るというよりもっと自然なかたちで空間を満たしている印象に変わりました。<愛知県 Mさん>
◎ゆったりと横たわり、<伊勢神宮>の楽曲が流れるのを待ちました。
まずはCD版を聴かせていただきました。奥行きのある素晴らしい曲です。たまふり状態が喚起され、気持ちよくなってきます。
ところが次にDVD版が流れてくると、あまりの違いに驚いてしまいました! DVDでは、奥行きはもちろんのこと、立体感、臨場感、深み、すべてにおいて段違いです。CDが、横一列に並んだ少人数の合奏だとすると、DVDは、その前後にも上下にも、多くの奏者を配置したオーケストラといった感じでしょうか。
音の粒子感覚も細やかで深みがあり、自分が曲に呑み込まれ、まるで荘厳な神殿の中を、鳥のように自由に飛び回っているかのようです。たまふり状態もより多層的となり、周りの空間も自分の身体も音で充たされ、あらゆる方向から音が迫り、また遠ざかり、そして時に大きく、時に細やかに、身体の中で精妙複雑な粒子のダンスが展開されていました。
自宅でヒーリング・アーツの練修をするときには、CDで練修してきましたが、DVDでヒーリング楽曲をお聴きしながら練修したら、術の熟達の度合いも高まるのではないでしょうか。それほどまでに「スゴイ!」です。<岡山県 Kさん>
◎音楽を使ったCDとDVDの違いですが、確かに“音の厚みが違う”と感じました。
またそれだけではなく、目を閉じるとその音の違いが、瞼の裏に違う光のパターン?として見ることができました。もっと私の感覚が開かれていれば、明確な映像のようにみえたかもしれません(これもDVDを使った音源の方がハッキリと現れました)。<愛媛県 Yさん>
◎美佳先生の新曲「伊勢神宮」をCD版とDVD版の違いを聴き比べさせていただきました。情報量が倍というだけあり、DVDの重厚感はCDの比ではありませんでした。また音を見るということで、目の水晶体の振動を意識していきました。それらを行っていると修法のためか、感動ゆえか、涙があふれてきて目が浄化されたように感じました。<京都府 Hさん>
・・・・・・・・・・・・・・・・・
今まではCDでも充分と私は感じていたのだが(というよりは、それ以外の可能性を考えたことがあまりなかった)、CDとDVDの音質にこれほど差があるとすると、たくさんの旋律、和音、リズムを立体的にクロスオーバーして創られているヒーリング楽曲の表現媒体としては、明らかにDVDの方が適している。
私自身も何度も聴き比べながら実験したが、やはり音質がきめ細やかであればあるほど、楽曲の持つヒーリング作用をダイレクトに体感できるし、創作意図も明確に伝わってくる。
音質を落として便利さ、ファイルの軽さを重視する一般流通の方向性を否定するつもりはないし、私もそれを活用していくが、同時に耳の肥えた人々に高音質の音楽を届けるための努力を怠らないようにしたいと思っている。
音楽を一時の流行、利益を得るための商品としてのみ扱う今の風潮とは一線を画し、芸術作品として提唱していくことに、夫も全面的に賛同し、協力・叱咤・激励してくれている。