2014年、夏。憲法も、基本的人権すら、裁判官らが平然と踏みにじって恥じようともしない理不尽な暗黒裁判(2013~2016)のさ中。
龍宮館にてある日、妻と雑談しているうち、いつしか話題がレゲエのリズムへと及んだ。
皆さんご存知と思うが、レゲエのリズムは一般的な音楽とはまったく違う、独自のものだ。どう違うかといえば、普通の音楽のリズムを表とすれば、レゲエのそれは裏、とでもいえばよいだろうか?
1、2、3、4・・・と、普通の音楽ではリズムが刻まれるのに対し、レゲエでは1.5、2.5、3.5、4.5・・・と拍子を取る。前者が「1」「2」「3」「4」という「実(存在)」に基づいているのに対し、1と2の間、2と3の間・・・という具合に、合間の空白、すなわち「虚」が、レゲエのリズムの基準となっている。
そこで2種類のリズムを、妻に実際に示してもらったのだが、レゲエのリズムに変わった途端、内面的な意識状態がスーッと変わり始めるではないか。
目を閉じて耳を澄ませ、何度も繰り返し確認した。
一体何が変わるのか、なぜ変わるのか。インターネット上でレゲエの代表的な曲をいくつか聴いてみたり、妻と共にあれこれ実験してみた。
その結果、ただレゲエのリズムや曲をいきなり聴くだけでは、明らかに何かが変わってはいるのだが、具体的に何が違うのか、わかりにくいと判明。聴いた話だが、日本のある高名なポピュラー音楽家がレゲエの良さがどうしてもわからず、何度も繰り返し聴くうちにようやく「良い」と感じられるようになったが、それでは何が良いのか、ハッキリ説明することができなかったそうだ。
これに対し、まず実(表)のリズムを少し聴き、それから虚(裏)のレゲエ的リズムを聴く。そうやって並べると、「違い」がくっきり明瞭になることがわかった。
後で、その違いを皆さんが実際に体験できる趣向を用意したので、お楽しみに。
表のリズムと裏のリズム。両者を順に聴き比べることで、どのような「違い」が感じられるのか?
表のリズムが外向的であるのに対し、裏のリズムでは内面へ内面へと沈みこんでゆくような感じがする。
活動に対する休息。男性原理に対する女性原理。
レゲエの曲を改めて聴いてみて、南島に流れるゆったりした時間に身を委ね始める時の、あの独特の感覚を、私は思い出した。
最初は、都会の時間感覚が体と心に染みついていて、明日は何をしよう、とか、家に戻ったらあれをしてこれをして・・(呵々大笑)、など、とにかく常に何かを「して」ないと時間を無駄に浪費している感じにさいなまれ落ち着かない。現代文明が「オン(すること)」に偏っている、と私が常々言うのはこういう状態を指している。
ところが、西の空を荘厳に染め上げつつ、太陽がゆっくり、ゆっくり・・・、水平線の彼方へ沈んでゆくのを眺めたり、潮騒に耳傾けつつデッキチェアに寝そべって満天の星を眺めたりするうち・・・、いつしか南島モードへと心身が自然にチューニングされてゆき、「何もせず」「ただあるがまま」の気持ちよさに浸る「コツ」がわかってくる。
甘い夢の中に溶けてゆくような、底なしの泥沼に沈み込んでゆくような、戦慄と期待がないまぜになったアンニュイ・・・。
食虫植物の蜜の中で、ゆっくり溶かされてゆく昆虫たちが見る、甘美な死の夢。ウツボカズラの学名ネペンテス(Nepentes)とは、ギリシア語で「憂いや悲しみが消える(ネは否定形)」という意味だ。
表に対する裏。
実に対する虚。
存在に対する空白。
音に対する沈黙。
・・・・・・・・・
オンに対する、オフ!
・・・・・これは・・・・・、私たちが強調してきた「オフ感覚」を、音楽的に表現するための、手がかりなのではあるまいか・・・・?!?!?!
リズムとは元来、オンとオフによって成り立つものだ。どちらか一方のみでは、リズムは存在し得ない。オンのリズムとか、オフのリズムと私が言うのは、リズムに元々備わっているオン(音)とオフ(沈黙)の位相の、いずれに強調点が置かれているか、という意味だ。
この一大発見が契機となって、妻は裁判の一連の流れとシンクロさせつつ、1つの新しい曲を完成させた。
リズムのオンとオフは妻によれば、ベートーヴェンの『交響曲第5番』やシューマンの『トロイメライ』など、クラシック楽曲において巧みに活用された先例がある。が、オンのリズムとオフのリズムを同一メロディーにおいて対置させることで、オフの感覚と意識を聴き手の内面へと明瞭に導くこの新しい手法は、おそらく他に類例をみないものだろう。
音楽の新しい世界、新しい可能性が、ここに拓かれた。
上述した、オンのリズムとオフのリズムの発見プロセスを皆さんが個人的に追体験できるよう、ちょっとしたプログラムを以下に用意した。
これは、オフ感覚を体感し・磨いてゆくと共に、龍宮道の世界観をより深く味わい・理会するための、トレーニングをも兼ねている。
新しい、とは、人類がこれまで知らなかった、という意味だ。当然ながら、ギャップがある。そのギャップを橋渡しするものが、下記のプログラムだ。
難しいことは何もない。音楽の専門知識も、まったく必要ない。あれこれ考えることは、かえって邪魔になる。ただ、「感じる」だけでいい。
プログラム自体は約5分、曲が7分弱、トータルで12~13分程度。
1セットわずか10数分とはいえ、これはれっきとした龍宮道の「修業」の一環だ。静かな場所でゆったりくつろげる時間を作り、他のことはいったん脇において集中的に取り組んでいただきたい。ヘッドフォンを使えば、より効果的だ。
再生ボタンをクリックした後は、目を閉じ、視覚用のエネルギーを聴覚へと振り向ける。そして、素直な気持ちで「聴き」「感じ」てゆきさえすれば、私がこれまで述べてきたものを、あなたもリアルに「体験」し始めることだろう。
1つのステップを聴き終えたなら、慌ただしくすぐ次へ、と機械的に進み急ごうとすることをここではスッカリやめてしまい、たとえ短時間でもいいから、内向するオフ感覚(身体内へ向かって力が抜けてゆく感覚)をゆっくり・たっぷり味わってほしい。ここで言うオフ感覚とはヒーリング・メディテーションすなわち瞑想そのものへと通じるものであり、瞑想は単なる暇つぶしではなく心身の健康や人生のQOL向上に大きな効果があることが科学的にも証明されている。日々を生きることの中でオフ感覚を積極的に活用することで、人生の質そのものを深め、豊かにしてゆくことができるのである。
余談だが、ウェブサイト内にある私のあらゆる文章は、通常よりも「ゆっくり」読むものとして書かれている。ゆっくりというのは、わざとらしく苦痛を感じるほど遅い速度で、という意味ではなく、一文字一文字を大切にして、飛ばし読みや斜め読みをしないということだ。私が記すのはもっぱら散文だが、「論理を重んずる内容でありながら、語感や言葉のリズムが強く意識された韻文的散文であり、読んでいると何か不思議な感じがする」と評したのは、アートセラピストの関則雄氏(一般社団法人日本クリエイティブ・アーツセラピー・センター代表理事)だ。
本当に凄いこと、素晴らしい価値あること、について、「本気で」「極めて大まじめに・熱心に」「読者が実際にわかり・できるようになるために」「熱烈に祈りながら」記された書物、あるいは文章は、現代においては希有なのかもしれない。独自の世界観を表現するための独自の言葉遣いや、果ては言葉と言葉の間に入る「・」の数に至るまで、すべて意識的(帰神状態にて執筆していることからいえば超意識的)に記されたものであり、それら(意味・内容、韻律)を総合的に味わいながらゆったり読むことで、ディープなヒーリング効果が読み手の内面に起こるよう「(超越的に)設計」されている。
1、2、3、4とカウントしながら手拍子を打つ。これを1単位(1小節)として、オン(数字のところで打つ)とオフ(数字と数字の合間で打つ)、それぞれが4単位ずつ繰り返されている。
まず、オンのリズムが4単位。少し間を置いて、オフのリズムが4単位。
1度聴いただけでは不十分と思われた方は、もう1度最初から繰り返せばよい。
なるほど、確かに「何か」が変わるようだ、と感じられたなら、今の段階ではそれで充分だ。
次は、曲の中からオンのモチーフとオフのモチーフを、それぞれ30秒ずつ抜き出して並べてある。無条件で、ただ聴いていただきたい。
聴くとは、耳に注意を集中することではない。耳だけで一生懸命聴こうとすると、かえって聴こえにくくなる。
リラックスして音を全身に響かせ、全身丸ごとで聴くつもりで。実際、音(音波)は、全身に響いている。
曲中で使用されているドラムの音色(3種類)によって、オンのリズムとオフのリズムを表現。これまで同様、オンのリズムに続き、空白を置いて、オフのリズムが鳴らされる。
ステップ2で聴いたオンのモチーフとオフのモチーフを、再び味わってみる。ステップ1~3を経ただけなのに、オンのリズムからオフのリズムへの移行に伴って生じる内面的変化が、より深く感じられるようになっていることにお気づきだろう。
今度は、ステップ3のドラム(リズム)に、メロディーをクロスオーバーする。
ステップ2、ステップ4に続き、三度同じモチーフを聴く。
「オフ感覚」とか「意識の内向」という言葉が意味するものを、皆さんも徐々に実感し始めていらっしゃることと思う。
前述したように、あらゆるリズムがオン(音)とオフ(沈黙)によって成り立っているのだが、通常の音楽ではオンの側面のみが強調されているため、目の前にあるオフの位相になかなか気づかない。気づけない。
インドの覚者・OSHO(旧名バグワン・シュリ・ラジニーシ)は、音と音の間の空白(沈黙)に音楽の本質が秘められていると述べたが、その空白とは広がりではなく、音と音の間の中心点を指しているのであろう。これを応用したのが「オフのリズム」だ。
1~6のステップは、今後折りに触れ繰り返せば、「沈黙を聴く」能力(オフ感覚の一種)がさらに養われてゆくはずだ。
それでは、全曲を通してお聴きいただきたい。
~作詞・作曲・編曲・演奏/高木美佳~
我らは、歓喜と感謝に満たされる!!!
虹色の雲を
心の中で
舞い踊らせよう
我らは、歓喜と感謝に満たされる!!!
愛の光と
勇気と希望で
道を照らし出そう
汝らは、歓喜と感謝に満たされる!!!
我らは、歓喜と感謝に満たされる!!!
美しい生命
敬い讃えよう
両手打ち鳴らし
我らは、歓喜と感謝に満たされる!!!
あなたの願いと
私の祈りを
ひとつに溶け合わそう
汝らは、歓喜と感謝に満たされる!!!
例えば、誰かの卑怯卑劣な振る舞いについて聴き及び、心の中がざわざわと波立っているような時・・・、この曲を聴くと、「我ら(汝ら)は、歓喜と感謝に満たされる!!!」という言霊に彩られたオフ感覚の波紋が深く染み込んできて、たちまち気分が晴れ晴れしてくる。
内面のあらゆるネガティヴさをヒーリング(調和)すると共に、ポジティヴな要素を活性化させるという思いがけない効果が、この曲にはある。オフの内向作用を通じ、肯定的な言霊の作用が潜在意識の奥底へと送り込まれるようになっているからだ。
言葉が持つ特別な性質を活用して、潜在意識に堆積した否定的な「観念の要素」を言葉のヴァイブレーションによって浄化し・陶冶(円満に育成)することで、心と体だけでなく運命までが広々と明るく拓かれてゆく。これは中村天風(心身統一法創始者。1876年~ 1968年)の教えだ。
皆さんも是非、楽しみつつ、活用していただきたい。聴けば聴くほどに、あなた方1人1人の内面を通じて、調和のヒーリング波紋が人類の集合的無意識層にまで送り届けられる。
<2023.03.22 雀始巣(すずめはじめてすくう)>