Healing Discourse

ヒーリング・リフレクション1 第三十三回 地球調和

文・写真:高木一行

◎日本の歴史上、国家そのものに強烈無比な反転呪術をかけた実例といえば、とくいん(崇徳天皇。1119~1164)の名がまず思い浮かぶ。
 貴族の内部抗争(保元の乱。1156)に破れ、讃岐に流されて軟禁生活を長年強いられ、宮廷への誠意も・厚い信仰心もことごとく無視されて踏みにじられ、不遇のうちに生を終えた後は、怨霊と化して人々を震え上がらせた。死ぬまで爪も髪も切らず夜叉のような姿であったとか、崩御後は蓋を閉めた棺から血があふれ出したとか、いろんなエピソードが伝えられている。
 当時の歌壇を牽引した歌人でもあり、小倉百人一首に収められた作品はあまりにも有名だ。

 瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末にあはむとぞ思ふ(崇徳院)

 魂を込めた写経の奉納を突き返され激怒した崇徳院は、「この経を魔道に回向えこうす(捧げる)」、「日本国の大魔縁となり、皇を取って民とし、民を皇となさん」、と自らの血で記したという。
 絶対権力者であった天皇が単なる象徴へと堕し、主権(国家の最高権力)が民衆1人1人に委譲された(主権在民)現在の我が国の状況は、まさに崇徳院の反転呪術の実現にほかならない。

◎古代エジプトの復讐の女神・セクメトについて、以前本連載で言及したことがある。
 いつまでも冤罪の過去に囚われ、こだわり続けるのは軽やかじゃないし、面白くも楽しくもないし、崇徳院の怨念まで招き寄せてしまいかねないから、できるだけ意識をセクメトから逸らせるよう注意を払ってきた、のだが、・・・セクメトは疫病の蔓延を鎮める女神でもあることを、最近知った。

◎私が提唱する「地球調和」の祈りについて、誤解されている方がいらっしゃるかもしれないので、この機会に簡潔に説明させていただく。
 人類の調和よりも地球の調和を優先する、と私が言うのは、地球の調和だけを祈り願って人類のことは後回しにする、あるいは放っておく、という意味ではない。
 地球調和の「地球」には、その地球上で暮らすあなたも、当然ながら含まれている。冤罪で私を刑務所へ(おそらく意図的に)送った者たちでさえ、例外ではない。

◎ウチワエビ。変わった形をしているため、以前は魚屋に入荷しても、知る人ぞ知るという感じで一般客には見向きもされなかったものだが、伊勢エビをもしのぐ美味が少しずつ知れ渡ってきて、関東の市場などでは高級食材として扱われるようになったそうだ。

ウチワエビ

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マヤ マヤ
テラ テラ
オットちゃん

◎先般の慶良間巡礼にて帰神撮影したのだが、こりゃ一体、そもそも何なのだろう、と流心会(メンバーシップ)用のコミュニケーション・ツールに写真を投稿してみたら、「シワリュウモンサンゴでは?」とすぐに応答があった。念のため友人が沖縄のちゅら海水族館に問い合わせたところ、丁寧に教えていただき、シワリュウモンサンゴ Pachyseris rugosa かイボリュウモンサンゴ Pachyseris gammae であろう、と。専門家であっても、サンゴの同定(種の特定)は難しいのだそうだ。

オットちゃん

◎それでは、こちらはいかがでしょうか、と、もう一つ種類がわからなかったサンゴ類の写真をお送りしたら、「ソフトコーラルのうち、ヤギの仲間に属する種類で、セキコクヤギ Isis hippuris という種類にみえる」、とのことだった。しかしながらヤギ類の研究はあまり進んでおらず、もしかしたら未確認の種類の可能性もなくはないという。

セキコクヤギ

◎資料を整理していて、昨年出所直後に撮った動画が出てきた。カーペットパイソンのラビュリンスが脱皮しているシーンだ。
 脱皮後は、文字通り生まれ変わったみたいに、つるつるつやつやになる。多くの古代文明において、蛇が再生と復活のシンボルとみなされたゆえんであろう。

<2021.12.20 鱖魚群(さけのうおむらがる)>