これは、古き愛をすべて火中に投じ、燃やし尽くす、愛の火葬である。
過去に執着し、あるいは未来へ希望を託す。そんな甘ったれたものじゃない。
古き愛の遺灰より、新たな愛が奇跡のごとく花開く。
愛は常にフレッシュで、瑞々[みずみず]しい。
本稿は元来、妻へのラブレターという形式をとりながら、留置場内で書き記したものである。
ところが、妻との面会さえ許されていない状況では、個人充[あ]ての親書とみなされ、外部へ出すことができない。
そこで一計を案じ、個人名はもちろん、「親書」の要素をすべて省き、あるいは書き換えるなどして、全内容をいったん解体し、一から改めて書き直した。
妻が私の意を汲み、秘め隠されしものを「解読」して、元の形(にできるだけ近く)再構成してくれることを祈りつつ・・・・。
だから本作は、いわば私と妻の(愛の)合作といえよう。
親書の送受を禁ずるそもそもの理由は、証拠隠滅や捜査撹乱等の指示を防ぐために他ならない。
本作を一読されれば、証拠隠しを指図する要素など微塵[みじん]も含まれないことがおわかりだろう。
実際、警察の厳しい、入念な内容検閲にもパスした。
<愛>が花開くことを抑[おさ]えつけ、その芳香の広がりを押し留[とど]めることなど、誰にもできはしない。
愛の祝福が、読者の皆さん1人1人の上にも降り注ぎますように。
高木一行
<2013.11.20 断食 Day58>