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高木美佳
原爆ドームを彩るように、傍らの大木たちがまだ初々しい葉を拡げて佇んでいた。午後の陽光を受けて、キラキラ輝いている。まだ夏ほど強烈でない、春のうららかな優しい日差し。金色にきらめく若葉が、風にさやさやと揺れながら踊っている。
まばゆい金色[きん]の光に包まれて、ドームは黄金の神殿へと変容する。春風と光のハーモニーが、葉の形、色を変化させるその瞬間瞬間に、奇跡のような「絵」が顕われる。
人が立ち入れないドーム内部では、タンポポが金色の花を控えめに咲かせ、 猫がのんびり毛づくろいをしていた。聖地とはほど遠い喧騒の中で、行き交う人々の群を静かにみつめている原爆ドーム。
こここそ、私たち日本人の希望の象徴ではないだろうか。どんなに破壊し尽くされても、時は流れ、人は生き続ける。植物も、動物たちも・・・。
<2011.04.25>