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高木一行
マヤを迎えて2日目。不思議なことが起こった。
朝食後(食欲は旺盛だが、やはり上手に食べることができない。一生懸命吸っている)、私はマヤの様子を見守っていたのだが、ふと意識を腰と腹の間に(3の原理で)収めて臍下丹田を覚醒させ、同時に観の目でマヤを観た。
その瞬間、何かが、ビリビリッと「精細にはじけ」て「通じ合」った。
「マヤ」と呼びかけたら、ぱっと振り向いて「ニャア」と返事する。何度やっても。
こっちへおいで、心の中で話しかけると、「オーケー」とばかりに起き上がってこちらへやってきた。この間、タイムラグなし。
あぐらをかき、ぽんぽんと内ももを叩き、「ここだよ」と声をかければ、長年そうし慣れた猫のように、「ほいきた」と飛び乗ってくる。ただし、まだ1度で飛び移れるだけのジャンプ力がないから、まず両手で絶壁(私のもも)にとびつき、全身を使ってはいあがるのだ。
そして、両ももの谷間にうまくちょこんと収まり、・・・すやすや寝息を立て始めたではないか。
「心が通う」とはこれか、と思った。
改めて考えてみれば、母猫から早めに引き離されてペットショップに連れていかれ、これまでとはまったく環境の違う里親募集ケージに閉じこめられるというのは、仔猫にとって一体どういう体験となるのだろう? さらに一緒に来た兄弟猫2頭が誰かに引き取られていき、マヤ一頭[ひとり]のみが寂しく取り残された。
私たちがマヤと出合ったのはそんな状況だったのだから、相当なストレスをすでに感じていたはずだ。
私は霊力を手掌に込め、マヤの上にかざして、ヒーリング・モードへと意識シフトした。
約30秒後、マヤが私の膝(もも)の上で眠りながら、ふうーっと一つ大きく、腹の底から息を吐き出した。その瞬間、マヤの全身が体の奥底からふわりと緩んで深くリラックスしたことが、もものところを通じハッキリ感じ取れた。
深い信頼。
バステト教徒(猫好きのこと。バステトは古代エジプトの猫女神)にとり、自らの膝(もも)の上で猫がくつろいでいるのを感じるのは、何ものにも換えがたい至福の一時だ。
<2011.11.17 地始凍>