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高木一行
Day 15.
この日より、マヤが1階のリビングルームで過ごす時間を少しずつ増やしていった。夜は、元の部屋に連れていって、妻が一緒に寝る。
新しい場所は、マヤにとって珍しいものばかりだから、あちこち探検するのにお忙しい。観葉植物を1つ1つ点検して回ったり、植木鉢にさしてある名札を引き抜いたり、爪とぎを兼ねた猫用アスレチック・タワーによじ登ったり(まだ途中までしか行けない)、冷蔵庫から煮干しを出してもらってかじったり(まだ上手に食べれない)、新種の猫じゃらしで遊んだり、はてはバッグから高みの見物としゃれこんだり・・・。
面白そうにその様子を、先住猫のマナが、遠くから見るともなく見ていた。マナ!と呼びかけたら、弾んだ明るい声で返事した。
もう1頭[ひとり]の先住猫スピカは、今のところ、マヤを完全に無視している。
二頭[ふたり]とも、マヤを少し警戒してはいるものの、敵意のようなものはまったく示さない。マヤが近づいていっても、無視するだけで、攻撃的に手を出したり、噛みついたりなど一切しない。
幼猫に対する保護本能のようなものが働くのだろうか。
これからは、マナとスピカもマヤ・シリーズの舞台に、頻繁に登場する。時には、マヤを尻目に主役を演ずることもあろう。
猫の社会行動を間近で観察することは、3頭[にん]の猫であっても、物凄く面白い。
大したものだと感心させられるようなシーンを、私たちはこれまで幾度も目撃してきた。
<2012.01.18 雉始鳴(きじはじめてなく)>