01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
高木一行
良質の沈香[じんこう]には、同じ重さの純金の数倍以上の値がつくそうだ。
有名な産地はベトナムだが、現地の土産物店などで売られているものの大半はニセモノだという。樹脂が表面にしか沈着してないもの、重くするため(沈香は名の通り水に沈む)内部に石や鉛を詰めたもの、インド・台湾・香港などの工場で香料を使って香りをつけ着色したものなど、多くの旅行者や素人業者が騙されている。日本の老舗の香木店によれば、「沈香を素人が扱うのは非常に危険でカモにされる」とのことであり、実際、一獲千金を夢見てその店に持ち込まれる沈香のほとんどがフェイク(偽物)であるという。
ベトナムの沈香取引はごく少数の人々によって独占されており、その売買形態や流通ルートも謎に包まれている。
沈香の中でも最上のものを伽羅[きゃら]という。
最高級の伽羅はベトナム産だが、今では非常に少なくなり、年間2キロも採れれば良い方らしい。ベトナム戦争でアメリカ軍が枯葉剤をまき、香木(沈香が採れる樹)の育つ森を破壊してしまったからだ。
ベトナム戦争後に採れた沈香の多くは、枯葉剤の匂いがするひどいもので、焚くと頭痛がするそうだ。
帰神撮影に使用した沈香は、かつてヒーリング・ネットワーク設立を記念して寄贈されたものであり、知人がわざわざベトナムまで赴き、あれやこれやの紆余曲折を経て入手した逸品だ。
<2012.06.15 腐草為螢>