文・写真:高木一行
◎山口在住の友人より、岸根栗が贈られてきた。岩国の岸根地区特産で、日本最大の美味しい栗として知る人ぞ知る、隠れたる名栗だ。ごらんの通り、確かに大きい。
これからしばらくの間、栗尽くしの縄文フェアである。
◎こちらは、別の友人が贈ってくれたドワイエンヌ・デュ・コミス(洋梨の一種)。
「昭和天皇の料理番」秋山徳蔵いわく、「果物の王なり」と。栽培がかなり難しいらしく一般には出回らないが、柔らかさを越えて口の中ではんなり溶けるような食感といい、どこにもとがったところがないまろやかな味わいといい、なるほど貴族趣味とはこういうものかもしれないと感じさせる妙な果物だ。惰弱と繊細さが紙一重のところで危うくバランスを保っている。
◎様々な山の幸も、縄文フェアには欠かせない。
香茸が近所のスーパーに並び始めたが、マツタケよりも高価だったりする。
◎前回ご紹介した動画2の続きの場面。
腰云々という前に、骨盤そのものが液状化してなければ、流れるように、波打つように、自由自在に武術的攻防を行なうことはできない。逆に、骨盤が(周辺の筋肉や腱、筋膜などの慢性緊張から)開放されると、必要な動きはそこが全部引き受けて勝手にやってくれる。気づいたら必要なことがすべて適時・適所で自然になされていた、という風になる。
◎北京ダックを焼いた。
皮を切り分けて甜麺醤を塗り、キュウリ、白ネギの千切りと一緒にカオヤーピン(クレープ状に焼いた餅皮)にくるんでいただくのが一般的だが、東南アジアの中華街ではスリーウェイといって、肉は野菜とオイスターソースで炒め、ガラでダシをとったスープも作り、あますところなくダックのすべてを徹底活用する。
龍宮館でも、このスリーウェイ・スタイルに倣っている。アヒルのスープなんてどんな味がするのやら、と緊張気味の未熟者も、一口飲んだ途端ぱっと顔つきが変わり、うまいうまいとぶつぶつ独り言をつぶやきながら、あっという間にきれいに平らげてしまう。
それもそのはず、ただアヒルの骨を煮ただけの単純なスープじゃない。様々な漢方薬を調合した秘伝のスパイスが絶妙な隠し味を効かせているのだ。うまくなかろうはずがない。
<2021.10.19 蟋蟀在戸(こほろぎとにあり)>