Healing Discourse

ヒーリング・リフレクション1 第三十回 タコ拳

文・写真:高木一行

マヤ マヤ

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◎前回と前々回、プライベート道場の天行院にて撮影した(プライベートな)動画をご紹介したが、そもそもあれらは何をやっているところなのかといえば、一言で言うと「タコ拳」を学ぶための準備なのである。
 中国武術には虎、蛇、龍、馬、鶴、カマキリなど、様々な動物のスピリットより啓発された流派が多数存在し、南洋の島々ではかつてサメやエイ、カニ、海蛇、タコなどの海の神々が崇められていたことをも想い併せれば、海洋修験かいようしゅげんたる龍宮道が、蛸神拳しょうしんけんを擁することは、むしろ自然にして当然であろう。
 これは、タコのスピリットを我が身に宿して舞い・戦う武術であり、タコのスピリットとの呪術的交感・交歓であり、武の神楽舞だ。武、即、輝くような健康感。即ち、ヒーリング・マーシャルアーツ。
 龍宮道を呪術と、私が呼ぶわけが、だんだんおわかりになってきたと思う。

◎動画4の冒頭部分は、動画1と2(第二十八回)で主に使ったわざを、ゆっくり行なっているところ。
 その後、相手の肩に置いた手の使い方(一例)を経て、タコ拳(仮称)の示演に入る。

動画4 2021.10.03 於:天行院

◎タコ拳の型というか練修法は、1つしかない。その1つを、様々に応用変化させ、タコのスピリットを身に受けるべく、全身に特殊なストレッチをかけてゆく。
 これにより、普通のストレッチでは考えられないような、グニャグニャ溶けて流れるような体感が発生する。
 次の動画の始めに私がやっているのがタコ拳練修法(の一例)で、動き方は各自いろいろあっていいが、基本通則として、平らな壁に片手をつけ、「その掌のどこか(指の腹だけでも構わない)を常に必ず壁にタッチさせ続けたまま」を、最初から最後までキープする。自分で勝手に差し替えてはいけない。ねじりがきつくなったからといって手をいったん離してつけ替えると、その瞬間、体内で螺旋状に絞られる作用が全部緩んでしまって、稽古の意味それ自体がなくなってしまうので要注意。
 まずは片手ずつ練修し、両手同時へと進む。また、回転する動きも、動画のような粗いものから、より細やかで・・・粘り着くような、「タコ的」なものへと深めてゆく。
 そして、あらゆる動きにおいて仙骨を実存的に意識し続けるということが、タコ拳の基本にして奥義たる「オクトパス・ムーヴメント」の、極意となる。

動画5 2021.10.03 於:天行院

◎聴くところによると、「うにホウレン」という料理は広島発祥らしい。真偽のほどは定かでない。
 熱く熱したフライパンでバターを溶かし、みじん切りにしたニンニクを入れ、適当な長さに切った生のほうれん草を強火でさっと炒め、塩コショウで味つけする。そして火を止め、生ウニを投入してそっと混ぜ合わせる。仕上げに醤油を一たらしすると風味が増す。
 ほうれん草の代わりにクレソンを使っても美味しい。

うにホウレン

<2021.10.27 霎時施(こさめときどきふる)>