Healing Discourse

ヒーリング・リフレクション2 第二十回 宇宙裁判

◎裁判中、私は次のような文章をインターネット上で発表している。そこで述べた予言がすでに現実のものとなりつつあることを、読者の皆さんはよくご存知だ。

 ・・・(前略)・・・
 近い将来、人類は宇宙の法廷に引き出され、宇宙的な裁きにかけられて、地球における、宇宙における、自らのレゾン・デートル(存在理由、存在意義)について、厳しく問いかけられるだろう。
 芸術家とは、時代を先取りする者だ。時代の水先案内人だ。
 芸術家によって新しい時代が創られるのではなく、超時空的な観点からはすでに「在って在る」ところの新たな時代の価値観を、芸術家たちが繊細な感性で鋭敏に感じ取り、各自独特の様式モードを通じて様々な<形>を与える。それにより、時代の<形>が自ずから成されてゆくのだ。
 私は芸術家として、人類の来たるべき「宇宙裁判」のひな形を、今、リアルに生々しく、「生きて」いる。
 私がここ最近集中して経験してきたこと、経験しつつあることは、すべて、これからあなた方自身やあなた方の子供たちの身に、想像を絶するほどの規模で、降りかかってくることの、エッセンスなのだ。
 だからこそ、私たちは愛と祈りを強調し、生命いのちの歌を高らかに歌う!
 人類の近未来の経験のひな形、ブループリントの1つとなり得るがゆえに、否、なさんがために、危機のさ中にあっても歓喜し、感謝する祈りを絶やさず、友愛による団結をもって困難を突破し、<たのし!!!>の言霊を全宇宙に響かせる壮大かつ壮烈な意気をもって、勇猛果敢に、誇り高く、一歩一歩をしっかり歩む。
 それ以外に、「人として」できることがあろうか。
 ・・・(後略)・・・

◎前回に引き続き、被告人質問の一部を再録する。あまりに長く、煩雑かつ難解で、個人情報が含まれている箇所も多いため、適当なところでカットした。
「麻薬とわかった上で、高木が手下に指示して密輸を謀った、組織ぐるみの悪質な犯罪である」とあらかじめ決めつけられ、弁護士までがそれに同調して私の足を引っ張るという異様な状況下にて、個人的な結果(無罪を勝ち取ること)を潔く手放し、国家・社会の問題として裁判で問いかけた。
 そのこと自体に一点の後悔もないとはいえ、国家社会に貢献したいとの熱願に巧みにつけこまれ、結局のところ、悪徳弁護士の自己宣伝にいいように利用されただけだったのではないか・・・そのように今は感じている。つまり、私は単なる道化役に過ぎなかったわけで、前回のタイトルはそういう意味だ。
 なお、以下の被告人質問の中で、メチロン麻薬指定の経緯(私を裁く法的根拠となるもの)に関する不審点などが取り上げられるが、そこに出てくる年月日を一々丁寧に頭に刻み、周辺の数字と時系列的に照らし合わせて、どちらが先か、後かを確認しながらゆっくり読み進んでゆけば、私が何を問題として訴えかけているのか、がよくわかっていただけると思う。

問 それでは、本件で問題となっているメチロンについてお聴きします。
 メチロンが麻薬として規制されていることをいつ知りましたか?

答 友人宅が家宅捜索され、当人から連絡があった時です。その時でさえ、麻薬規制が具体的に何を意味するか、定かではありませんでした。

問 そういう呑気な態度は、世間知らずもはなはだしく、無責任というべきではありませんか?

答 まったくその通りであり、自ら顧みて反省しておるところです。
 しかしながら、世間から距離を置いて生活してはいても、誰かを傷つけたり迷惑をかけたことはなく、社会に害悪を及ぼそうとはかったこともなく、それどころか社会に貢献したいという一念をこれまでずっと貫き通してきました。いささかのやましい点もなく、人間として生まれたことに対する責任を果たそうとしてきました。そのことに対しては、むしろ誇りに思っています。

問 あなたの逮捕状の中に「Kさん宅でメチロンを所持した容疑」とありますが、それを否認したのは、輸入と関わってないからですか?

答 はい、そうです。人の自宅で所持した、というのもおかしな話ですが。

問 にもかかわらず、その後の取調べの中では、メチロン輸入の全責任は自分にある、と述べているのはなぜですか?

答 私はただ、してないことはしてない、という事実を述べているまでです。事実と責任とは違います。
 たとえ輸入の指示などしておらずとも、そしていかなる事情があれ、かつて自分の元で一定期間学んだ人に対しては、その言動の全責任を負うのが当然と私は思います。言った・言わない、指示した・指示してない、といった水掛け論は、事実を証言できる者を法廷へ呼べないのであれば、不毛なだけですから。
 それゆえに、作り上げられた既成のストーリーに対し敢えて異を唱えることなく(だからといって、それを認めるわけでは決してありませんが)、個人の事柄を越えたもっと大きな国家的・社会的な問題として、メチロンのように作用が穏やかで有益な活用法があり得る物質を、一方的に麻薬と決めつけ、重罰をもって規制することの是非について、法廷で問いかけたいと考え、実際にそのように行動してきました。

問 わかりました。
 それでは、メチロンの麻薬指定についてお聴きします。あなたはそのパブリックコメントを調べましたか。

答 はい。

問 それはいつですか?

答 前回の公判後、集中的に調べました。それ以前は、弁護人に任せ切りでした。

問 あなたが感じた問題点について話してください。

答 メチロンに焦点を絞ってお話ししますが、その他の麻薬指定についても同様の問題があります。
 厚労省のパブリックコメントに関する検索システムを使い、メチロンまたはmethyloneと入力して検索してみたのですが、1件もヒットしませんでした。
 その時点で3500件以上の件数があったため、もう少し絞り込むべく、麻薬という言葉で検索してみると、141件が引っかかってきました。これらをしらみつぶしに調べていった結果、案件495060120に2-メチルアミノ-1-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパン-1-オンと化学式で記されているものがどうやらそれらしいとわかり、改めてその化学式を使って検索してみたのですが、なぜかヒットしないのです。
 よくよく観比べてみて、数字やハイフン、( )などを半角にすればよいのではないかと気づき、改めて試してみて、ようやく件の案件にたどり着きました。しかし、その中のどこにも、メチロンともmethyloneとも書かれておりません。
 化学式そのものも、国際標準表記とは異なるもので、こんなことでは検索システムがまともに機能しているとはいえず、一体誰の意見を募集し、誰に対して結果を公示しているつもりなのか、はなはだ疑問です。意見募集にしても、薬学や化学の専門家以外にとっては意味不明な内容・書き方であり、「パブリック」の名に値しません。

問 今あなたが述べた案件495060120というのは、検察官提出の甲70号証と甲72号証のことですね。
 他に問題と感じる箇所がありましたか?

答 メチロンの麻薬指定に対する意見を募集する際、麻薬指定の理由として「メチロンには幻覚作用がある」と述べられていますが、明らかな間違いです。化学的な構造からしてもメチロンに幻覚作用などないことは明瞭であり、国内外のユーザーたちも同じように述べています。
 メチロンの作用について、正しく判断する能力を持たない者が、麻薬指定を決めていることがわかります。これは重大な問題です。

問 他に問題はありませんか?

答 問題はここからです。
 検察官提示の証拠(甲61号証)によれば、メチロンを含む33物質が「指定薬物部会」で薬事法上の指定薬物と決められたのは、平成18年11月9日となっています。
 これをパブリックコメントにかけるため、平成18年11月15日より1ヶ月間、意見公募が行なわれています。翌年4月1日に、薬事法の一部改正が行なわれました。

問 今の話を補足しておきます。平成19年2月28日に指定薬物の省令公布、3月12日にパブリックコメントの結果公示、4月1日に薬事法の一部改正案の施行となっています。

答 これは、薬事法上の規制です。
 ところが、平成18年11月9日、「指定薬物部会」と同じ日に、「依存性薬物検討会」が開かれたことになっており、そこでメチロンが麻薬指定されたといいます。これに関し、指定薬物と同様に11月16日より1ヶ月間、意見公募が行なわれ、平成19年1月4日にメチロンを麻薬指定する政令が公布されています。

問 麻薬指定の政令公布が平成19年1月4日、パブリックコメントの結果公示は甲70号証の通り平成19年1月10日です。
 麻薬指定の政令の公布よりも、指定薬物関係の省令公布の方が1月半遅れていますね。

答 検察官提示の甲61号証および甲69号証は、「指定薬物部会」の議事録ですが、その中で繰り返し、「まず手続きが簡単な薬物指定で規制し、その後、別の会合にて、時間をかけながら麻薬指定について1つ1つ検証してゆき、必要であれば麻薬として規制する」といった主旨の、厚生労働省麻薬対策課長による発言がなされています。比較的まっとうな考え方、態度だと思います。
 にもかかわらず、発言とは裏腹に、薬物指定と麻薬指定に関するパブリックコメント募集が同時に行なわれ、奇妙なことに薬物指定の前に麻薬指定がなされているのです。
 しかも、2月28日に公布された指定薬物のリストからは、いつの間にかメチロンが抜け落ちている。いつ、いかなる理由により、指定薬物のはずのメチロンが麻薬指定されることになったのか、今のところ明らかとなっていません。しかるべき手続きを踏むことなく、誰かが指定薬物(旧・薬事法と関わる)の一部を勝手に麻薬指定(麻薬及び向精神薬取締法と関わる)したのだとしたら、これもまた明白な法律違反です。
 何か、とてもおかしなことが、麻薬指定に際し厚労省内では行なわれているようです。

問 平成18年度と19年度の「依存性薬物検討会」の議事録を、厚労省に開示請求した結果について話してください。

答 検察官は第5回公判において、両議事録は非公開であると述べ、それを真に受ける形で裁判所から厚労省への問い合せがなされました。非公開というものを公開せよとはいえないので、間接的な尋ね方にならざるを得ない、と。
 ところが、これとは別に、我々が独自に開示請求した結果、そんなものはそもそも存在しない、ということがわかった。それは存在しないものを公開することなどできるわけがありませんが、しかしそういうのは「非公開」と言わないのでは?

問 厚労省からの回答書には、「保有しない」と書かれていますね。

答 これは、情報公開法や公文書管理法に抵触する重大問題であり、全国市民オンブズマンもこの件に非常な興味を示し、現在さらに調査が進められているところです。
 憲法で定められた適正な手続きを経ることなく、形ばかりのパブリックコメントだけとって、密室内でいい加減な麻薬指定が行なわれてきた事実が、次々と明らかになりつつあります。

問 第5回公判後、裁判所が厚労省に質問状を送った理由は、メチロンの麻薬指定に関する経緯が証拠上、充分ではないと判断したからですが、それについてどう思いますか?

答 麻薬指定の経緯は、いまだに明らかとなっておりません。

問 検察官が麻薬指定の根拠として提出した議事録(甲69号証)の立証主旨を法廷で変更した後、それに代わる証拠がいまだに出されず、その点を無視したまま裁判が進行していますが、それについてはどのように考えますか?

答 麻薬指定の議事録は存在しないことがわかったのですから、適正な手続きに則って政令を改正したという証拠がないことになる。これは大問題ではないでしょうか? 明らかな憲法違反です。
 全国市民オンブズマンによれば、厚労省がこれほど情報を出し渋る事例も珍しいとのことで、裁判所による徹底的な調査をお願いしたいと思います。

問 「依存性薬物検討会」が、法的根拠を何ら有さない私的諮問機関であると判明したことについて話してください。

答 全国市民オンブズマンの問い合せに対し、最初、私的諮問機関と返答したにも関わらず、その数日後には前言を撤回したそうです。「意見聴取の場」に変わったとか。

問 厚労省の説明によれば、「依存性薬物検討会」での審議を経て麻薬指定を決定する、とありますが。

答 であれば、非常に重要なものであり、その「依存性薬物検討会」の議事録が存在しないことは、先ほど述べたように情報公開法及び公文書管理法に違反するものではないでしょうか。
 私的諮問機関あるいは意見聴取の場であっても、省庁全体の活動を規定する自己ルールにより、審議会に準じて議事録を作成し、発言者の氏名と共に公開することが義務づけられているのですから。

問 今おっしゃった省庁自身のルールというのは、「懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針 平成11年4月27日 中央省庁等改革推進本部決定」ならびに「平成17年8月3日 情報公開に関する連絡会議資料 懇談会等行政運営の会合における発言者の氏名について」のことですね。

答 はい。

問 麻薬指定を政令に白紙委任していることについて、あなたの意見を聴かせてください。

答 罪刑法定主義に明らかに背くものです。
 パブリックコメントの矛盾といい、議事録も作成せず密室内で偏見に基づきどんどん勝手に法律がねじ曲げられていっていることといい、要するに厚労省には荷が重すぎるんじゃないでしょうか?

問 話をメチロンに戻します。メチロンには具体的にどのような効果があるのですか?

答 メチロンは凝り固まった心身を柔らかく自然にほぐし、猜疑心で塗り固められた現代人の心を軽やかに解き放ちます。
 子供の頃は誰でも持っていた素直で優しい心を、再び取り戻すことを助けるという希有な作用がメチロンにはあります。
 ごく少量を使うと、肩や首の頑固な凝り、背中や腰の痛みがスーッと消えて楽になる、という副次的な効果もあります。

問 メチロンには問題点はないのですか?

答 メチロンには素晴らしい効果がありますが、残念ながら、連続使用するとその効果が薄れるという特性を備えています。
 翌日使うと効果は半分以下、さらにその翌日使えば、4分の1以下、という風に、連続的に使えば使うほど、効果はどんどん微弱となってゆくのです。

問 そうなると、充分な効果を得ようとして服用量を増やすということにはなりませんか?

答 他のドラッグでは、そのようにして中毒へと至ります。
 ところが面白いことに、メチロンの場合、数日続けて使用し、効果が薄れると、その後はいくら量を増やしても、効果にそれほど違いが出ないのです。
 かつて私は実験のため、通常の使用量から時には10倍近い量を、何度も繰り返し試してみたことがありますが、心身への影響をほとんど感じませんでした。これはもちろん、メチロンがまだ合法だった頃の話です。
 メチロンを服用した状態で日常生活を普通に営めるのではないか、とすら思いました。使用はもっぱら夜間に限り、使用中の外出は控えましたが。

問 今のお話によれば、メチロンの効果を充分味わうためには、期間をあけて使用する必要があるということになるのでしょうか?

答 そうです。
 少なくとも1ヶ月は使用間隔をあけるべきという情報が、ドラッグ・ユーザーの間ですでに広く知れ渡っています。
 使用量を増やすのではなく、充分間隔を空けて使用することを誰もが自然に選択するのですから、メチロンには依存性がないことがわかります。非常に健康的なドラッグ、といえるかもしれません。

問 メチロン単体では毒性が低いが、他の薬品と合わせると有毒になる、という説をF氏(国立精神・神経医療研究センター)は論文(甲54号証)の中で述べていますが?

答 事実はまったく逆で、他の強い作用を持つハーブや薬品と合わせて摂取することで、コントロールが容易になるという優れた特性がメチロンにはあるのです。これは一般ユーザーが発見したことです。
 ネズミを対象として、人間ではあり得ないような大容量のメチロンを使ったF氏の実験は、人間に対する影響を推測する論拠とはなり得ないものであり、机上の空論と断じて差し支えないと思います。
 私の実体験や巷間の様々なユーザーらによる体験報告と、F氏の推測は完全に相反あいはんしています。

問 メチロンを含め、人の意識に肯定的影響を及ぼし得るものを、あなたはエンセオジェンと呼んでいるわけですが、そのエンセオジェンについてネズミを通じて知ることができると思いますか?

答 神秘的で深遠な・・・宗教的な性質を帯びた意識変容体験について、ネズミを通じて知ることは、もちろんできるはずがありません。

問 ネズミの実験結果のみをもって、ある物質を一方的に麻薬に指定し、重罰をもって規制することについて、あなたの意見を述べてください。

答 主権者たる国民をネズミ同然とみくだす、不届きで傲慢かつよこしまな心根のあらわれであり、基本的人権の侵害にほかなりません。 

問 MDMAやメチロンは、海外ではPTSDの治療や末期患者のターミナルケアなどに用いられて大きな効果をあげているそうですね。

答 そうした有益な効果を報告する論文が、F氏報告書(甲54号証)では一切取り上げられておらず、ただ神経毒性などに関する基礎実験について述べた海外論文のみを恣意的にセレクトして参考文献としてあげています。
 自然科学とは客観性を重んじる学問ですが、F氏のやり方は客観性とはほど遠く、したがって科学的とはとうていみなしがたいものです。
 東日本大震災などで深刻なPTSDに陥り、正常な日常生活が営めなくなった人たちも、メチロンやMDMAを用いた心理療法によって救済される可能性が高いのです。それを思えば、偏見に満ちた一方的な規制が、病に苦しむ人々をさらに傷つけ、苦しめているといえます。

問 メチロンの害悪について述べた甲63号証には、メチロンによる突然死について述べられています。これについてはどう考えますか?

答 その死亡例について記されている原文(英語)の報告書を読んでみました。
 それによれば、心臓の大動脈弁というものは普通の人では3枚あるのに、その死亡者は2枚しかなかったそうです。
 そういう人は心臓弁膜症を発症しやすく、失神や突然死の原因となります。この人の死因はメチロンではなく、心臓弁膜症であった可能性が高いのです。
 というのも、死の2ヶ月前に自動車事故を起こしているのですが、居眠り運転によるものとされたのは、実は心臓弁膜症による失神が本当の原因だったのかもしれません。

問 WHOの調査によると、全世界で毎年、アルコールが原因となって250万人以上が死亡しているそうです。それと甲63号証の死亡事例を比べてどう思いますか?

答 酒とタバコには、麻薬であるヘロインやコカインに準じる身体への害悪と強い依存性があることが、科学的に証明されています。つまり、酒もタバコもれっきとした「麻薬」なのです。
 にもかかわらず、「依存性薬物検討会」が酒やタバコをなぜ麻薬に指定しないのか、疑問に思います。
 メチロンによるものと推測される死亡例が全世界で1件。これに対し、毎年250万人以上の人々がアルコール(酒)によって命を奪われている。これらを一体どうやって比較せよというのでしょう?

 ・・・(後略)・・・

注:本文中に出てくる「薬事法」は、平成26年11月25日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」へ名称変更された。

<2022.06.26 菖蒲華(あやめはなさく)>