◎前回に続き、龍宮道のわざを解説する動画を試作したので、修行者各位が何らかの有益なヒントを汲み取ってくださることを期待しつつ、情けないほど中途半端な出来ではあるが、以下にまとめてご紹介する。
動画1は、もっぱら鎖骨から働きかけて胸郭を和らげてゆく法と、柔らかく波打つようになり始めた胸郭を使って自由自在にわざをかけてゆく場面。
鎖骨密珠(鎖骨が胸骨と関節を成しているところ)を腕(上肢)のつけ根として認知し、使うようになると、そこ(密珠)を照準器のように活用して相手とのギリギリの間合いを(皮膚感覚で)計ることが容易にできるようになる。
動画中で、「胸郭の形を消す」と私が述べているのは、目に見えないようにするという意味ではなく、触覚的に「固体」として感じていた胸郭が、(鎖骨密珠の覚醒などにより)龍宮道モードへとシフトするや、たちどころに固定した形を失い、水のように変幻自在に波打ち始める、という意味だ。
つまり、龍宮道における「柔らかさ」は、柔らかな固体ではなく、状況に応じて自在に形を変える液体のような柔らかさ(固定した形を持たない)を指す。
胸や背中、肩などが波打つほどに和らげば、その爽快さ、自由さの感覚たるや、言葉にするあたわず(言葉で表現することができない)、だ。
フルハイビジョン画質 07分37秒
◎動画2では、胸郭の和らぎをさらに深め、肘や肩(上腕骨頭)の密珠なども覚醒させてゆき、ついには「鳥かき」へと至る(呵々大笑)。
胸郭を和らげ、水のように波打たせるための修法はこの他にもたくさんあるのだが、私が知る限り龍宮道独自のものばかりであり、何とか機会を作って動画に収め、皆さんにご紹介したいものと思っている。
そしてもちろん、龍宮道のわざは胸郭に関するものだけじゃない。・・・こうして書いているだけでちょっと眩暈がしてきそうなほど、いろんな種類がある。動画作成や配信方法などに詳しく、なおかつ龍宮道に大いに関心があるような人の協力が得られれば非常に助かるし、そうやって助力してくれる人には龍宮道の秘伝でも何でもいくらでも教えてあげたい・・と思うのだが、残念ながらそんな人間などこの世にはおらず、仮にどこかにいたとしても我々が出会える確率は限りなく低く、なかなか難しいものだ。
これ(動画作成)は我々の任にあらず、と思わないでもないのだが、まあ、自分たちにできる最善を尽くすのみ。
フルハイビジョン画質 04分20秒
複数の相手を重ね、縛る「多数重ね」は、岡本正剛先生より学んだ大東流合気柔術のわざが基本となっているが、龍宮道マニアの諸君は毎回毎回の多数重ねがすべて「違う」というところにも着目していただきたい。私は「人間芸術」として、龍宮道流の多数重ねを試みている。
多数重ねは、ヒーリングの念を込めた術者のかしわ手で緩んだり・解けることもあるが、それでも解けない場合は、手や足などを強く掴んで引き剥がそうとせず(無理すると受け手の身体を痛めることがある)、掌で軽くはたくようにすれば、自然に別れる。
◎『太極拳論を語る』で取り上げた含胸抜背も、胸郭を和らげるための一法だ。含胸抜背について、一度それを意識すればそれでよしとばかりに放念してしまい、わざの最中に含胸抜背が崩れる(=互いの力がぶつかり合う「双重の病」に陥る)ケースが頻繁に観られるため、その点について解説した。
フルハイビジョン画質 06分20秒
◎動画4は付録映像。このたびの龍宮会の最中、期せずして自顕してきた新しい修法の一つだ。効果はハッキリしているが、なぜそうなるのかという原理については、いまだ曖昧なままだ。今後の研究課題である。
相手に腕などを掴まれた態勢にて、掌で軽く床にヒーリング・タッチし、足裏(土踏まず)から脚、腰腹・・・と大地の力(地のエレメント)を体内に取り込んでゆく・・・と、面白いことに、相手の体内にもまったく同じように足裏から頭頂まで大地の力が通じ、満ちてくる(これはハッキリ生理的に感じられるものだ)。
すると、まるで大木が巨象に根こそぎなぎ倒されるように、相手は全身丸ごと余すところなく崩れてゆく。これぞ「象かき」なり(呵々大笑)。
使い方次第では非常に危険なわざとなり得るが、目の肥えた方はすでにお気づきの通り、これまで断片的に発表してきた諸種のわざの中には、(急激に行なえば)3人の腕を同時に折るなど、結構危険なものがすでにいろいろ含まれている。
フルハイビジョン画質 01分44秒
◎地球調和の祈り。人類の禊。それを具体的に修する実際的方法、それが龍宮道だ。
こんなものが私のような、才能も地位も名誉も人脈も金脈も何もない、ないない尽くしの世捨て人みたいな人間の裡より、花が自ずから開くように自顕してくるようになったのは、2002年、それから2013年(不当逮捕による留置・取り調べ時)に執り行なった長期断食による影響が大きいと感じる。
先住民文化におけるヴィジョン・クエスト(今後の人生を貫く根本ヴィジョンを求める試練の旅)のような気分で行なったことが、長期断食の効果により「個(個人)」を超えて「人類全体」のヴィジョン・クエストと、期せずして相なってしまった。その結果得られた<ヒーリング・ネットワーク>というヴィジョンは、だから、私個人の生き方を指し示すものであると同時に、全人類がこれから進むべき方向性を指し示すヴィジョンでもあるのだ。
◎地球的危機を回避する道は、これまでずっと我々の前に在り続けた。が、比較的最近のある時点をもって、その道はどうやら閉ざされたようだ。
人類の集合的無意識層を直下に突き抜け、地球の中心と共振する姿勢(正中心姿勢)を造ること――即ち、地球そのものとダイレクトに対話(体話)すること――を、ここのところ日々ずっと続けてきて、人類がついに一線を踏み越えたことを、つい先日、如実に感じ取った。たぶん、同じように感じている方が、読者諸氏の中にも少なくないと思う。
危機の回避はもうできまい。が、人類の、地球生命の、地球そのものの、「苦(苦しみ)」を最小限に抑えることなら、まだ可能だ(地球は確かに、痛みを感じている)。
心ある人々よ。互いの間にある「違い」を乗り越え、地球調和の祈りを一つに合わせようではないか。
<2022.07.11 温風至(あつかぜいたる)>