Healing Discourse

ヒーリング・リフレクション2 第三十三回 極楽寺山探訪2:去り行く夏

 2014年9月8日。
『ヒーリング・リフレクション2』第七回でご紹介した極楽寺山ごくらくじやまへ、妻と共に再びおもむき、帰神スライドショーを制作した。以下は、当時記したライナーノーツだ。

 強い日差しが葉叢はむらの間より差し込む山林に、ツクツクボウシの鳴き声が響き渡る。
 瀬戸内地方では、晩夏から初秋にかけての短い期間にだけ姿を現わし、秋の訪れを告げる使者とされているツクツクボウシだが、今年は初夏頃から盛んに鳴いていた。本稿を執筆している9月23日にも、少し元気が失せた感じのツクツクボウシの寂しげな鳴き声を何度か耳にした。
 こんなに長い期間、ツクツクボウシを楽しんだことは、かつてなかった。

 かつてない、といえば、先日、長雨が続いた後のある夜、空を観上げると、満天の星がゆらめいているではないか。天の川さえ、うっすら観えそうなほどだったが、あんなに澄み渡った夜空は、このあたりでは30数年ぶりだろうか。
 街灯のない暗い場所を求め、妻と一緒に裏山の方へ歩いてゆく途中、真っ暗なやぶの中で突然、ガサガサッと大きな音がしたのは、あれはたぶんイノシシだろう。
 広島湾をぐるりと囲む市街地のあかりを遥かに望む特等席(地べた)にて、夫婦並んで寝ころびながら、大宇宙へと楽しく思いを馳せることしばし。
 妻は、流れ星を2つ観たそうだ。

 秋の気配が静かに忍び寄る極楽寺山々頂さんちょう付近の光景を、妻と共に帰神撮影してきた。スライドショーとクロスオーバーした自然音は、妻が帰神録音したもの。
 蚊の群れが、私たちにずっとつきまとっていたのだが、その羽音が帰神録音の中で時折聴こえてくるのが面白い。虫よけスプレーなど用意しなかったが、不思議にもほとんど蚊に刺されなかった。

 私たちが山頂にいる間、上空を飛行機がひっきりなしに飛び交い、轟音が鳴り止むことがなかった。おそらく岩国の米軍基地を離着陸する軍用機だろう。
 美しい自然の情景とはいかにも不協和な、不吉で異様な響き。
 できるだけ耳障りとならぬよう妻が工夫したが、スライドショー最後の部分で聴こえる飛行機の音だけはどうにもならなかったそうだ。

 できるだけ暗くした部屋で、静かに向かい合っていただくことで、最大のヒーリング効果を味わうことができる。

<2022.09.02 天地始粛(てんちはじめてさむし)>