Healing Discourse

ヒーリング・リフレクション2 第三十七回 祝祭のモルディヴィアン・ナイト

◎「モルディヴ料理のイメージが湧かないのですが、実際はどんなものでしたか?」という質問が来ている。
 食べ物に興味のない者(味覚や嗅覚が鈍い人間)は何をやってもモノにならない、とは他所よそでもよく聴く話だが、経験上確かに一理あるかもしれないと思う。

朝食1

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 上の写真は、ある朝メインレストランのビュッフェから取ってきた一皿だ。炊き込みご飯の上がチキンカリー(少し辛め)、そこから反時計回りに、酢・塩・ライムに漬けた魚(半生)と野菜のサラダ、リハークル(黒っぽいペースト。魚の煮汁をハーブと共に煮詰めた調味料。パラオのワスと同様のもの)、ガーリック・ピクルス(茶色のペースト。スパイシーで刺激的な味でインドのピクルスアチャールと似ている)。ライスの上にかかっているのは、モルディヴ産の唐辛子チリスライス(激辛)やモリンガの葉の揚物(ふりかけのように使う)など。カリーといっても、いろいろ混ぜ合わせながら食べる独特のスタイルで、南インドやスリランカのカリーとは一線を画している。
 モルディヴやスリランカの料理には、モルディヴ・フィッシュという調味料が欠かせないが、かつお節とそっくりで、日本のかつお節はモルディヴが起源という説もあるほどだ。

朝食2

 こちらは別の日の朝食(同じくメインレストランのビュッフェにて)。カリーはパンプキンカリー。トマトの向かって右に写っているのは、モルディヴ名物マスフニ。これが好きになって、レシピも抜かりなく習ってきた。
 マスフニの作り方は極めてシンプルだ。缶詰めのツナ、ココナッツフレーク、タマネギみじん切り、レタスなどの葉野菜を細切りにしたもの(少々)、ライムの絞り汁。以上を、ヒーリング・タッチにて混ぜ合わせる。
 好みでチリを加えてもOK。最後に塩や黒胡椒で味を調整。モルディヴ気分をさらに高めるため、カレーリーフの葉を加えるのもよい(乾燥した葉は香りが飛んでしまうので、生か冷凍ものを使う)。
 余談だが、写真でトマトの左側にあるのは、フレッシュなココナッツをスライスしたもの。いかにもモルディヴらしい付け合わせだ。
 この他、ガルディーアというシンプルなカツオのスープが代表的モルディヴ料理とされており、当然ながら作り方を習ってきた。カツオ、少量の刻んだニンニク、カレーリーフ、塩で作るシンプルなスープに、生タマネギや刻んだチリ、ライムを添えていただく。タマネギ、チリ、ライムは料理の材料として熱を加えず、出来上がったスープに好みの量を入れながら食べる点が独特だ。あるモルディヴ人は「カリーとガルディーアは両立しない(別々に食べる料理である)」と述べていたが、我々外国人は好きなようにさせてもらって構うまい。
 モルディヴの市場にて、現地でしか手に入らぬ激レア食材(上記リハークルやモルディヴ製のカリー粉など)をいっぱいゲットしてきたので、帰国後はしょっちゅうモルディヴィアン・ナイトである。

◎モルディヴのリゾートで、日本でも売っている炭酸飲料水を注文した際のこと。

炭酸飲料水

 一口飲んで、おやと思った。馴染なじみの味とは違うのである。レストランの照明が暗めで気づかなかったのだが、よく観るとライムが一切れ浮かんでいる。
 そういうちょっとした工夫で、こんな風にまったく違った飲み物に変わってしまうのか、と感心した瞬間、心と体の奥底に巣くっていた重さ、というか封印のようなものが、ふわりと溶けて消え去る感覚を覚えた。それと共に、理不尽な冤罪えんざいで放り込まれた刑務所生活(4年半)で失ったと感じていた繊細な味覚・嗅覚が、ゆっくり戻ってき始めたではないか。
 まるで、荒れ果てた大地が恵みの雨によって奇跡のように花々で覆い尽くされるように。

レストラン

◎アラカルト料理でロブスターづくしなども注文してみたが、モルディヴ式のロブスター料理とはいかなるものかとの期待は見事に裏切られ、ビスクだのラビオリ、テルミドール(下写真)といった、どこにでもあるありふれた品ばかりで、少々がっかりである。ロブスター(伊勢エビの仲間)なんて、そもそも大して美味いものじゃないのに、写真のようにチーズなんかをいっぱいかけてしまったらすべて台無しだ。

ロブスター

◎モルディヴ巡礼より帰還して1月以上が経ったが、いまだに巡礼成功を祝う祝福の品がしゅっちゅう届けられ、ほぼ毎日がフェスティバルという極楽(≒自堕落)生活を送っている。
 トラベローグ用の帰神フォトを現像・編集し、帰神スライドショーを制作する作業は夜間、部屋を暗くして行なうので、昼夜逆転の夜行性生活がスッカリ身についてしまった。これもそろそろ反転させねば、と思い始めている今日この頃である。

花良治みかん

花良治けらじみかん。喜界島の花良治集落で、突然変異によって作出されたとされる幻のみかん。皮の香りが独特で・華やかで、それだけでも充分楽しめるが、中身の味は平凡・・というか、味らしい味がほとんどしない。が、珍しいものをいただいたという感動は残った。

ゾウリエビ1
ゾウリエビ2

ゾウリエビ。英名スリッパ・ロブスター。漁獲量が少ない上に形が変わっていて消費者の購買意欲がわかないのか、市場にほとんど出回らないが、刺し身でも各種料理にしても、伊勢エビよりずっと奥深い味で香りも素晴らしい。

ゾウリエビ2

参考までにスリッパ・ロブスターの仲間をご紹介しておく。これはウチワエビ。広島でも時折売っているのをみかける。美味い美味いと私が喧伝してきたせいでもなかろうが、最近は美味が知れ渡ってしまい、価格も高騰し始めた。

セミエビ

沖縄で最高級とされ、珍重されているセミエビ。伊勢エビの数倍以上の値段で取引される。セミエビの刺し身は、エビ類で最も美味なものの一つかもしれない。残った殻でだしを取るセミエビみそ汁も最高。

ビオレ・ソリエス

秋の楽しみの一つ、ビオレ・ソリエス。蜜が皮にしみ出て、しっとり濡れたようになっている。

猫山王とD-24

ヒーリング・リフレクション1』ではマンゴーづくしだったのに、今年はマンゴーの外れ年なのか、あるいは気候変動の影響なのか、美味いマンゴーとは1度も巡り合えなかった。その代わり、高品質の生ドリアンを食べる機会がいっぱいあり、それはそれで祝祭である。写真向かって左は、最近送られてきた猫山王(ねこやまおう、と、つい読んでしまう)、右の棘が小さいのがクラシックな銘品種D-24、共にマレーシア産のドリアンだ。

フィリピン産ドリアン

隣の区の大型スーパーにフィリピン産ドリアン(プヤット種)が入荷し、ちょうど皮に割れ目が入って良い匂いが漂い始めていたので2個買ってきたのだが、その一つ(もう1個と比べると半分くらいのサイズでみすぼらしい外観)が特別中の特別だった。写真の通り、普通は薄黄色の実が、妙に赤みがかかってオレンジ色なのである。同じ木になった果実でも、実の色がオレンジ色で味も香りも特別なスペシャル・ドリアンがごく少数存在するという話は、ずっと前から現地の人たちに聴いて知っていたのだが、どうやらそれに「当たった」らしい。猫山王にも匹敵する、しかし系統の異なる素晴らしい味と香りだ(プヤット種はタイのモントーン種に近いとされている)。・・・祝福である。

ポキ

ハワイのポキも、よく考えてみたら「南洋サシミ」の一種であろう。マグロ切り身を、醤油とごま油をベースとするドレッシングで、タマネギやアボカドと共に和える。

<2022.10.25 霜始降(しもはじめてふる)>