◎ヒーリング・アーツの根本原理は、本連載にここまでお付き合いくださってきた読者諸氏には改めて述べるまでもないと思うが、言わずと知れた「オフ」である。
ところが、何事も「オン(すること)」に著しく偏っている現代社会では、心身におけるオフ(するのをやめること。しないこと)とはそもそもいかなる感覚なのか、どんな意識状態を伴うものなのか、その肝心なところがどうしてもわからず・できない、という人が圧倒的に多い。現代人の多くにとって未知の世界なのだろう。
先日の東京相承会(07.01)では、HN1(ヒーリング・ネットワーク1)のディスコース第一弾『たまふり』第一回をプリントアウトした資料を使い、実際に少しずつ読み上げながら、そこに書かれている内容を逐一、最初から最後まで、参加者一人一人に実体験してもらった。
感じ方の深浅には個人差があると思うが、「ここに書かれていることは、一言一句、実体験に基づく紛れもない事実(真実)であり、伝聞や推測、机上の空論によるものではない」ということを、各自が確認し、充分納得してくださったようだ。
それでは、『たまふり』第一回には、どんなことが書かれているのか? 改めてチェックしてみれば、一読しただけで、そこで説かれているのはまぎれもない「極意」「奥義」であり、他流ならば「秘伝」に属すような事柄であるとわかるだろう。
それらはどれも、オフに基づくわざだ。ゆえに、それらを最大限活用するためには、まず「オフ」を修得しなければない。あるいは、このように言ってもよいだろう。「オフこそが、極意である」、と。
◎先日、「オフ感覚を味わうためには」というテーマ研究の一環として、チーム・コミュニケーション・ツールにて次のように投稿した。そこから始まった一連の流れをご紹介する。
オフの感覚を味わう方法として、以下の実験をしてみてほしい。
たらいかバケツを2つ用意し、片方は氷を浮かべた冷水、もう一方は我慢できる程度の熱さの湯を入れる。そして、片手をまず冷水につけ、しばらく経ったら温水へ移す。
私の場合、自動的にオフが起こるが、各自において実際にはどうなるか、試してほしい(もう一方の手の感覚とも比較)。うまくいくようなら、ヒーリング・アーツの準備修法の一つとして公開したいと思っている。
ただ手だけでなく、体全体の感じ方とか存在感のフィーリングにも注意。そうしたフィーリングも、「意識」だ。
実験を行なってみました。
冷水に片手を浸していると、手が冷えていくとともにキューッと凝集してくる感覚があり、手だけでなく全身まで引き締まってくる感じがしました。
そこから温水へ手を入れると、転じてふわっとほどけていくとともに、ジーンと微細振動が起き、その波が全身にまで波及し身体が緩んできました。
終えた後に軽く手を振るなどして左右の違いを確認してみると、波打ち具合が異なるのが一目瞭然でした。
この準備修法を実践しますと、頭で能動的に働きかけるのではない、受動的にオフが「起こる」ことを体感として味わうことができ、非常に有益だと感じます。
最後に両手で行ないバランスを取りますと、温泉に入ったように全身がリラックスして動きが細やかになり、掌の和らげが全体に大きな影響を及ぼすことをあらためて実感いたしました。かしわ手を打ってみると、パチンとその場で終わるのではなく、浸透し響き続ける感覚がありました。
冷水と温水による実験を行なわせていただきました。
温水をかなり熱くしたので、冷水の後に手を入れると手自体は熱で痛いほどでしたが、全身に強制的にオフが始まり、身体に湯が入っていくように足先までゆるんでいくのが感じられました。
その手をまた冷水に浸けると、最初よりもさらに深く冷たさが伝わって凝集するのが感じられました。
何度か繰り返すと、何もしていない左手に対して冷水と温水につけた右手にはみずみずしい柔らかさが生じはじめ、その右手で左腕と触れ合うと、手そのものが柔らかくなっており、繊細で深くほどけていくタッチ感覚が起きていました。
左手でも確認しましたが、両手を行なった後は全身が熱を加えたバターのように柔らかく、肌も子供の肌のような柔らかさと弾力の感触がありました。
冷水と温水による実験を行なってみました。
氷水にしばらく手をつけると痛みを感じる程でしたが、その手を温水につけるとゆっくりと手が緩んでくるのが感じられました。皮膚で粒子が振動し緩んで拡散していくのが感じ取りやすいと思いました。粒子の凝集と拡散が自動的に起こり、オフの感覚を感じることに集中できるのが良いと感じました。掌が緩むと全身もゆったりと柔らぐ感覚が広がっていきました。
冷水と温水による実験では、冷水に手を入れますと、じわっとした感じで凝集していく感覚があり、その手を温水につけて観察しておりますと、次第にオフが生じていくのが感じられました。再び冷水にいれますと、再び凝集していくのが感じられました。
何度かくり返した後、行なった側の手と反対側の手を比べますと、練修を行なった側の手は潤いがあり、握ったり開いたりしてみますと反対側の手より滑らかに動くのがわかりました。<次回に続く>
◎四川料理の一つ、酸菜魚(スワンツァイユィ)。四川省で作られる青菜の漬物(酸菜)、魚の揚物、唐辛子、花椒を一緒に煮て、最後に香草を載せる。乳酸発酵した酸菜の酸味と塩味、魚のうま味、唐辛子の辛味、そして舌を痺れさせる花椒の風味が重なり合い・融合して、複雑な味わいを織り成す。
◎ナツメ入りのほんのり甘い中華ちまき。こういう食べ物とジャスミンティーで1日を始めるのも、一風変わった趣向で楽しい。
◎ポンキア・スロッ 。茹でエビに、生ブラックペッパー(塩漬け)とレモンのソースをかけたカンボジア料理。
◎大粒のシジミ(鳥取産)が手に入ったので、醤油と紹興酒で炒めてみた。こういう食べ方も面白い。
◎島根から届いた白バイ貝(エッチュウバイ)。刺し身で食べると、こりこりした食感の中に上品な甘みがある。煮付けにしても美味しい。
<2023.07.10 温風至(あつかぜいたる)>