2023.08.04
丹田、といっても、その位置・意味・使い方、諸説あって一定しない。我々は、「臍下丹田」という人口に膾炙した(広く知れ渡った)言葉と、肥田式強健術創始者・肥田春充による定義を採り入れ、「腹直筋の、恥骨と臍の中央に入る(意識と)力」を丹田としている。
日本では昔から、全身の力・持てる能力をフルに発揮するため「下っ腹に力を入れよ」と教えるが、下腹に手を置いてよく観察しながら、逆に「下腹に力を入れないまま」、何か体を働かせようとしてみるといい。いわゆる「腑抜け」となって、これでは何事も成せそうにないとよくわかるだろう。
下腹に入る力には、「上から入る(入れる)力」と「下から入る力」の2種がある。その違いを感じ取るには、伏臥して下腹が床に密着する態勢をとり、片手を腹の横に添えて力感を感じ取る補助とすればよい。これは、「胸郭の和らぎ」に対して「骨盤の和らぎ」に属する修法だ。
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2023.08.07
丹田に(下から)入る力(丹田力=腹力)を元に動作するだけで、全身の動きの質が一変する。が、龍宮道ではそこから百尺竿頭に一歩を進め(高度な境地の上にさらに努力・研鑽を積んでさらなる高みを目指すこと)、「腰腹同量の力」を志向する。
そこへと至れば、わざはさらに複雑至妙に、滑らかに、円なるものへと変容する。そうであってなお、否、そうであるからこそ、「わざをかけよう」とか「相手がこうしてきたからああしよう」といった作為は一切要らなくなる。ただ、自然である。放任である(腰腹にすべて任せて、委ねる)。すると、気づいたら勝手にわざがかかって、相手が勝手に倒れていた、という風になる。
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2023.08.10
丹田力から腰腹同量の力へと進むには、「骨盤の和らぎ」というテーマと全面的に取り組まねばならない。骨盤といっても、それ単体ではなく、下肢(足、下脚、膝、上脚、骨盤)の一部としての骨盤である。そして、上肢のつけ根が鎖骨密珠であることと対応して、下肢にもつけ根に相当する密珠が存在するが、どんどん先走って高度なことを教えても却って真剣な修行者たちの足を引っ張りかねないから、下肢のつけ根の密珠については現時点では「各自の研究課題」としておこうか。
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2023.08.15
骨盤のパーツがバラバラになったように自在に波打つ状態を、私は「骨盤分離」と仮称し、随分昔からセミナー等で教えてきた。活字になったもので一番古い資料はと調べてみたら、ITI(インナー・テクノロジー・インスティチュート)という任意団体を主宰していた時のニューズレターVol.1がどうもそれに当たるらしい。発行年月日は平成8年(1996年)11月1日となっている。
ちなみに、これまで一連の対外・対内活動をずっと続けてきて、主宰する団体名があれこれ変わってきたのはなぜかといえば、その時々で主眼とする研究テーマが変化していったこともあるが、「常若」という一言で、おわかりいただける方には直ちにおわかりいただけることと思う。
常若とは・・・衰えることなく、みずみずしい精気が常に満ちあふれている状態を指す。
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<第十回へ続く>