Healing Discourse

龍宮道メモ 第十回 ひかがみ

2023.08.18

 皆さんは「ひかがみ」という言葉をご存知だろうか? 漢字で書くと「膕」。膝の後ろの、膝を曲げるとくぼむところを指すが、龍宮道そしてヒーリング・アーツで重視している箇所の一つだ。
 膝の裏の折れ目中央には、東洋医学で言う「委中」というツボもある。ツボの名称で無意味に名づけられたものなどないので、「委ねの中心」というネーミングは意味深だ。

※ひかがみについては、HN1の『ヒーリング随感3』第6回を参照。

動画31 『ひかがみのAB』 撮影:2023.05.04 於:天行院

フルハイビジョン画質 03分29秒

2023.08.24

 正座の状態で、ひかがみのABを意識すると、脚の中が螺旋状に通じる。そして、その状態それ自体を使ってわざ(座取り)へと応用することもできる。動画では、手や腕など上半身の動きでわざをかけているように見えるかもしれないが、すべてひかがみを通じさせた脚の働きによるものである。

動画32 『ひかがみのABと座取り』
撮影:2023.05.04 於:天行院

フルハイビジョン画質 02分53秒

2023.09.13

 自由組手を一幕。
 後半、耳を打つことについて説く場面が登場するが、「風が吹き抜けるように(貫耳)」とか「風を吹き込むように」といった要訣が古伝の武術には伝えられている。実際に打つと、非常に危険なものらしい。
 龍宮道の組手を無心に舞っていると、頚椎をめながら気管(のど)を横から近距離で打ち抜いたり、いかにも危険そうなわざが時折、あっけらかんと出てきたりする。「愛と祈り」「自覚と責任」という、出発点であり根本の土台の大切なところを、常に忘失してはならない所以ゆえんでもある。
 さもなければ、楽しかるべき・生命いのちを養い高めるはずの稽古が、殺伐とした格闘術、殺人術のトレーニングへと堕してしまうだろう。実戦性に重きを置くことに対して私は別に反対ではないし、「実際に使えるのか」という問いかけ・自己批判は、龍宮道でも常に重視している。と同時に、少々の無茶・無謀も許される若い時だけでなく、生涯に渡って練り鍛えることのできる・人生の中核に置くに値する、<道>を、私は提唱したいと思っている。

動画33 『自由組手2』 撮影:2023.05.04 於:天行院

フルハイビジョン画質 02分39秒

<第十一回へ続く>