文:高木一行
去る7月23日、24日、広島で執り行なわれた龍宮道伝授会の折りに、参加者が撮影した動画の一部だ。
観照上の要訣を以下にいくつかあげておくので、参考にしていただければ幸いだ。
一、術者である私だけでなく、受け手の身体も、「波打つもの」として観る。
あんな風に波打ちながら崩され、倒される時、その受け手の身体内ではどんなことが起こっており、そして当人はいかなる感覚を味わっているものなのか、ちょっと試しにリアルに想像してみるのも面白い。
二、武術として観るだけでなく、身体調律法として観る。
すると、まったく違う世界が眼前に拓かれてくる。全身まるごとで様々にコンタクトし合いながら、相手の姿勢(骨格構造の在り方)と動き(体の使い方)を、私は常に調律していっている。
三、非暴力の実践、演習として観る。
相手と接しているところ、それから両足裏と床、これらを同時にヒーリング・タッチ状態にする。押し過ぎず、引き過ぎず、ちょうどいいところで地球と流動的な平衡状態を保っている。・・・これが、我々の言う「非暴力」の基本態勢だ。
四、私の骨盤腔内にすっぽり収まっている、球状の緊張からの作用、・・と、すべての動き、すべてのわざを、観る。
上記(三)で述べたように、相手そして床とのインターフェースを常に中和しながら、その中心を骨盤腔内へ球状に結び、ただその球状緊張のみを意識して、すべてを委ねる。
この動画中で、私がやっていることといえば、ただその一事のみだ。すべてを骨盤内の球に委ね、任せきっている。
フルハイビジョン画質 06分48秒
武道だけでなく、悟道においても究極の奥義とされる丹田を、龍宮道でももちろん重視する。
確かに、骨盤球(仮称)をサッと造ってそこに意識を込めると、すべての運動の質が一瞬で変わるのである。その程度は、初心者でも確かめられるだろう。身体各所に、球のように働く運動の要所(密珠)があることに、龍宮道ではずっと言及してきたが、それらすべての球(中心)を統べる根本の球(中心)が、骨盤球だ。
さらに熟練すると、骨盤球を陰圧により圧縮することで(そういうことが龍宮道では実際に行なえる)、仙骨の奥(仙骨神経叢?)のところからぱっと光が灯ったような感覚/意識が起こり、それが背中中央の奥(脊髄神経?)から脳へと瞬時に伝わって、脳の中まで煌々とまばゆく照らし出されたみたいになって、もう何も考えられなくなってしまう。これは、物凄く気持ちいい。
骨盤球というのは、西洋錬金術や魔術でいうところの「賢者の石」(あるいはその前駆体)に相当する。あらゆる能力の源泉であり、不老不死をもたらす、とされるもの。
神仙術でその同じものを「丹(不老不死のエリクサ)」と呼ぶが、その丹を錬成する大釜が丹田だ。
<2021.08.21 綿柎開(わたのはなしべひらく)>