文:高木一行
ヒーリング・タッチが基本となることは、ヒーリング・アーツでも龍宮道でも同じだが、龍宮道の場合、それをさらに動的に運用してゆく。
ヒーリング・タッチそのものを、体表面の形に沿って流れるように滑らかに、移動させてゆくこともあるし、広範囲で接し合い、手腕や足脚をきつく絡め合ったような暴力的態勢そのものを、ヒーリング・タッチへと換えることもある。
組み打ちでも、まず基本はヒーリング・タッチであるということが、動画ではチュートリアル(一人一人に対する一対一の伝授)で示されてゆく。例によって、私は響き合う波紋を使いながら、参加者一人一人へ深層伝授している。
小手先でなく、全身を使って、瞬時に、ヒーリング・タッチ状態へシフトする・・・からこそ、体丸ごとで発生するトータルな波紋が起こり、相手の身体内にも共鳴して、「コミュニオン」が生じるのだ。そうした波紋を招き寄せようとする際、インターフェース(接触)面におけるヒーリング・タッチを保ち続ける。これは、全身丸ごとでトータルなヒーリング・タッチを成功させるための要訣だ。
すると、意識状態がさっと変わる。相手と自分、という区別すら消え失せた、流れる意識(流心)。
押してない、引きもしていない、押しと引きとが渾然と一つに溶け合った中庸。
毅然とした絶体受容の流れる心。どこにも滞らない、流れる身体。
こうした心身の流動化状態を、<非暴力>と、龍宮道では定義する。
龍宮道とは、だから、非暴力の実践にほかならないのだ。
フルハイビジョン画質 03分13秒
かつてヒーリング・ネットワーク1のディスコースに私が記した内容を、参加者一人一人が私と直接触れ合い、実体験する。そういうサービス企画が、今回の伝授会には開催者側からのリクエストに応え、盛り込まれていた。ディスコースを生で体験するLive、あるいはディスコースの内容に命(Life)がこもって生き活きしたもの(Live)となる、という趣向だ。
今回のお題は、『グノーティ・セアウトン』第2回の、手首に関する仮想身体論。手首の自然な角度を、ヒーリング・タッチで覚醒させるとどんなことが起こるか?
さらに、それを龍宮道へと応用したらどうなるか?
龍宮道への応用については、これまで公開の場では一度も語られ、示されたことがないものだ。
フルハイビジョン画質 04分03秒
伝授の合間の、「武の舞」。
ちなみに、「武の舞」という言葉とコンセプトは、若き日、沖縄を訪れた際、琉球王家秘伝武術の御殿手宗家・上原清吉先生より、親しくお教えいただいたものだ。
ところで、今回の伝授会で私がしょっちゅうゆらゆら揺れているのは、伝授項目の中に「踵の流体化」が含まれていたからだ。
寝ころんだ相手の踵を掌でくるみこむように持ち、その手をぎゅーっとまんべんなく締めてゆく・・・と、頭の中が膨れ上がるような不快感と共に、受け手は血圧上昇をハッキリ感じるだろう。高血圧の人は、決して実験してはならない。
上記から、踵への凝集を内破。すると、受け手の頭がスーッとクリアーに、軽快になる。
そして立ち上がってみる。踵が液状化して、ゆらりゆらりと全身が揺れ始めるだろう。これを、他のすべての龍宮道修法同様、直ちに武術のわざとして使うことができる。
踵から液状に崩されるというのは、受けてみるとわかるが、実に斬新な体験だ。
こうした波紋の共鳴現象は、一体どのように起こっているのか、そしてそれを訓練によって身につけるためにはどうすればよいのか、そういうテーマに、今、龍宮道では取り組んでいる。
フルハイビジョン画質 04分50秒
<2021.06.18 乃東枯(なつかれくさかるる)>