文:高木一行
昨年末、ウェブサイトの分析ツールが試験的に導入され、使い方もまだよくわからない状態だが、USAと中国、それからヨーロッパの何ヶ国かなどで、少数ながら本ウェブサイトに常時アクセスしている人たちがいることが判明した。
一体どこが気に入っていただけたのか、よくわからないが、私が何を意図して、何のために諸々の活動をやっているのか、日本人でさえ理解する者はほとんどいないというのに、言葉も文化も異なる外国の人々にとっては、不可解さも一入であろう・・・などと考えていたら、そこからがもういけない。我ながら面白いものだと思うが、ぴたりと手が止まり、一言も書けなくなってしまった。
これまでずっと、インターネットを通じ重要な情報を世界へ向け発信してきた、と無邪気にも信じ込んでいた。・・のだが、そもそもこれが何で、世界の今を生きる人々にとりどんな意味・意義があるのか、基本的なところを説明する努力すら怠ったままでは、まったくとは言わないがほとんど、「無意味」というしかあるまい。
拙著『奇跡の手 ヒーリング・タッチ』やウェブサイトの各記事などを英訳することも考えたが、翻訳ソフトはいまだ実用レベルに達しておらず、自分で書くこともままならない。
英語は(将来、海外のいろんなところに出かけるつもりだったので)中学・高校と自発的にしっかり勉強し、東京大学でも英語の成績だけはクラスでトップだった。洋書も、専門書や小説など、これまでたくさん読んできた。というのに、自らの内より湧き溢れる想いを英語で自由に綴ることが今でもできないというのは、私の才能不足ももちろんあるだろうが、日本の英語教育システムに大きな欠陥があるとしか思えない。
まあ、そんなこんなでウェブサイト関係の作業がずっと滞っていたわけだが、その間にも合宿稽古会などメンバーシップ(流心会)向けの活動は着実に行なってきた。
物事が思うように進まないからといって、いつまでもグズグズ燻り続けているのは面白くないし、エネルギー(活力)も低下するだけだ。
よって心機一転、気持ちを切り替え、先日の第5回合宿稽古会(2022.02.11~13)で撮影した動画を分かち合うところからまた新たに始めよう、と思い立った次第だ。
最初にご紹介する動画1は、準備運動も兼ねゆっくりわざをかけてゆく場面。
フルハイビジョン画質 02分04秒
続く動画2では、身体内の虚実配分を瞬時に換えることで、一種の衝撃波を発生させるわざが示される。
実戦的武術としての太極拳には、引進落空という奥義があり、大変危険なものゆえやり方は公開しないそうだが、相反する極性(引と進など)を身体内でぶつけ合わせ、虚空に投げ出されたような認知不能の撹乱状態へと相手を落とし込むことは、龍宮道の基礎原理を応用すれば、それほど難しいことではない。その状態で強く打ったり、床に叩きつけたりすれば、確かに大変なことになるだろう。
フルハイビジョン画質 01分10秒
最近、ふと思いついて、太極拳のバイブルとされ、多種多様の太極拳流派のすべてが等しく重視するという『太極拳論』(王宗岳・著)を繙いてみた。
太極拳を修業していた青年時代、何度も熟読し、何か大切なことが書かれているとは感じるが、実際問題としてどこをどうすればそれを現実に体現できるものか、さっぱりわからず、長い間投げ捨てて顧みなかった。ところが、今、改めて読んでみると、「当たり前のこと」、「自分が今、実際にやっている(できる)こと」として『太極拳論』に書かれている一言一言が、深く心身にしみ込んでくるから驚いた。
自分に都合の良いように勝手に解釈したり、ものごとを進めたりすることを、我田引水とか牽強付会などという。その我田引水、牽強付会に陥っている可能性はもちろん否定しないが、龍宮道から観た『太極拳論』について説き、具体的なわざとして示すことも、意義なきことではなかろう。
『太極拳論』の読み下し文、口語訳を、まずは可能な限り正確に作成することが先決だが、幸いなことに中国語に詳しい友人の助けを借り、その作業をほぼ終えることができた。
今後は、身体を通じて内容を検証してゆき、何らかの成果が得られたならば、ヒーリング・ディスコースにおいて発表したいと思っている。
<2022.02.23 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)>