文:高木一行
前回述べた龍宮会を、天行院で執り行なった(2022.06.10~12)。
これまでやってきた伝授会とか合宿稽古会などと、龍宮会はどこがどのように違うのか・・・?
前者においては、参加者が龍宮道の技術を学び、修得することに、どちらかというと重きが置かれていた。後者(龍宮会)では、地球調和の祈りを皆で合わせることが基盤となる。つまり、個人のためだけでなく、地球のために、龍宮会は執り行なわれる。
その副産物として、参加者は様々なわざが身につき、祈りの力(呪力)も体得できるだろう。が、それらはあくまでも結果であって、目的ではない。
フルハイビジョン画質 04分20秒
動画1では、これまでご紹介してきた虎口(親指と人さし指の間の水かき部分)を、杖術へと応用してゆく第一歩が示演される。ゆっくり、柔らかく、無駄な力みをすべて捨て去りながら・・・。
ところで、注意深い人は、以前壁にかけてあった大皿が色紙に代わったことに気づかれたと思う。大東流合気柔術六方会宗師・岡本正剛先生におねだりして揮毫していただいた貴重なものだ。
「一技萬法に通ず」・・・ただ一つの奥義を極めれば、あらゆる<道>にも通じる。
岡本先生揮毫の色紙を飾ったから、というわけではないと思うが、動画2では期せずして「合気」が、テーマとして現われてきた。
関東在住時、六方会の通常の稽古に通う以外に、岡本先生と小旅行した時とか、先生がわが家に遊びに来られた際など、他の門人を交えぬプライベートな場で、一般には公開しない合気の秘奥(外形に現われない内面の本質)を親しく教えていただいたことが何度もある。その後も怠らず精進し続けてきた結果、虎口の教えとも相まって、龍宮道独自の合気が結晶化し始めた(この場合の結晶とは、固体的なものではなく不動の中心、といった意味である)。
合気とは・・・相手の重心を一瞬で奪い、コントロールする術だ。自分と相手が一体となり、一つの「息(呼吸)」を共有するようになる。
龍宮道の原理に基づけば、信じられないほど小さな力(波紋)で、術者も受け手も驚くほどあっさり・あっけなく、自在に、わざがかかるようになる。
フルハイビジョン画質 04分45秒
次回も合気を取り上げ、龍宮道の合気をさらに深く解説してゆく。
なお、誤解なきよう念のため申し上げておくが、大東流の合気はこうやってかけるとか、合気の実体とか、そういうことについて私は示そうとしているわけではない。
岡本先生ご自身も、「合気の解釈と実際的技術は、伝承者によって様々であっていいし、そのすべてを自分は認め・受け容れ・敬意を払う」、と常々おっしゃっていた。それが口先だけでなく本心からのものであったことを、私はよく知っている。
<2022.06.23 乃東枯(なつかれくさかるる)>