リゾート滞在3日目(新月)は、昼前にマンタたちが大挙してやってきた。
前章で、マンタはただ食べ物を求めハニファルベイへ集まってくるだけでは、どうやらないらしいことについて述べた。
今回の龍宮巡礼で撮ってきた帰神フォトを観ればすぐわかるように、マンタらは群で移動してゆく際、すべての個体が皆同じ方向を向き、同じように泳いでいるわけではない。あるものは正反対を向いていたり、別のものは海中で宙返りを繰り返したり、かなり複雑に相互の位置関係を換えつつ、全体として優雅に・渦巻き流れるように、湾内を巡っている。時として、各個体間の距離が相当近づくこともあり、あれでよく互いにぶつからないものだと感心するが、群全体の調和が完全に取れていて、無理や無駄、せわしなさ、不自然さが、どこにも感じられない。
これは・・・<舞>にほかならない。
実に楽しげに、世界を祝福しながら、マンタたちは地球調和の舞を舞っている。
巨大な生き物が、あんな風に自在に舞い泳ぎつつたくさん乱舞している、そのまっただ中に身を置けば、大波が複雑に起こってひどく揺さぶられたりしそうなものだが、あに図らんや、「何も感じない」のである。通常の波以外、何か特別なことが起こっている感じが一切しない。むしろ「静けさ」を、私は覚えた。
大勢のマンタたちがこちらへ迫ってきても(海の中でそれを間近に観ていることをお忘れなく)、不思議なことに圧迫感や威圧感、危機感のごときものがまったく感じられない。ツアー参加者の中には子供や高齢者たちも混じっていたが、誰一人怖がっている者などいなかった。
これは、改めて思えば、凄いことではなかろうか。
以下の連続写真は偶然撮れたものだが、いかにも不慣れなシュノーケラーのフィン(足ヒレ)が進んでゆくマンタと真っ向からぶつかってしまった・・・と思った瞬間、マンタはヒレでふわりと包み込むように柔らかく受け流し、柔らかな接触を保ちつつギリギリでするりとかわして、何事もなかったようにそのまま泳ぎ去っていった。シュノーケラーの方はマンタと触れ合ったことにすら気づかなかったようだ。
これは、私が唱道する龍宮道(ヒーリング・マーシャルアーツ)の「ぶつかり合わず融和する体さばき」と本質的にまったく同じで、龍宮道でいう「非暴力の実践」そのものであり、「お見事!」と手放しで讃歎するしかない。
それでは帰神スライドショーだ。
最後に帰神動画を二つ。
最初は、滞在したフォニマグッドゥー島の情景だ。連日、強い風が吹いて波がやや高く、海底の砂が巻き上げられて水も濁りがちだったが、それでもかくのごとく圧倒的な美しさである。
フォニマグッドゥー島の浜辺の美しさはモルディヴ随一と称され、そこに建つリゾートの名は「リーティビーチ・リゾート」という。リーティ(Reethi)とは、ディベヒ語で「美しい」という意味だ。
フルハイビジョン画質 00分47秒
宿泊した水上コテージのウッドデッキ下が小さな砂州になっており、そこで戯れ合う波の様子が面白くて帰神撮影した。龍宮道における多数取り(多数相手の戦い)の極意がここにある。
一つの波に、他の波がぶつかり、重なり、別れる。その様子を、1度に二つ以上の波の動きを同時に注意しながら「観る」と、やがて自分自身の内面(体の中)にも波が感じられ始めるだろう。体内で波同士がぶつかり合う感触までが、リアルに感じられて驚くかもしれない。意識状態もスーッと静まってゆく。目は柔らかくみひらき、最初から最後まで目を動かさない。まばたきもしない。その状態を保ちつつ、画面(視界)の中の波の動きを意識してゆくのである(目で追わないこと)。
次章以降で説く「観の目」の訓練にもなるので、是非活用していただきたい。
フルハイビジョン画質 03分51秒
<2022.10.28 霜始降(しもはじめてふる)>