Healing Discourse

生命の旋舞 〜モルディヴ巡礼:2022〜 第四章 マンタ乱舞・急

各地の方向と距離

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 雨期のモルディヴは、無数のプランクトンで海がかなり濁っている上、空が曇ったり、雲間から日の光が差し込んだり、かと思えばスコールが叩きつけてきたり、・・と天気が非常に不安定だ。そんなところで水中撮影するというのは、言うまでもなく制約が非常に大きい。
 最初、これまでの習慣で、水の透明さ、視界の明るさ、水面から差し込んでくる光とそれによってできる影、・・・などを無意識のうちに探し求めてしまっていた。
 が、ここでは求めても得られぬとすぐ気づき、ならばと発想を根本的に転換した。空間(水)を埋め尽くすプランクトンの存在を、消そうとするのでなく、ただあるがままに受け容れればよいではないか、・・と。
 隠すどころか、むしろ、それ自身をして自らを積極的に表現させるべく、心で心に呼びかけ、いざなうのだ。
 
 そんな風に発想が反転するのと照応して、身体全体の骨格構造(姿勢)が自動的に組み変わり、意識も自ずから変性状態(Altered States)へとシフトした。と同時に、目に映る世界が瞬時に一変する。・・・いつもこんな風に書きながら、一体どれくらいの方々が、私の言わんとすること、伝えようとしていることを正しく理解してくださっているのだろう、と疑問に思っている。
 詩的形容とか大げさな誇張などでは、これは、ないのだ。ただあるがままの事実について、私は物語っている。
 心身の相関原理に基づき人体の神経機能を換えることで、目の前で見ているごく普通のありふれた景色ですら、まったく新たな・・・いったん死んで再びよみがえったかのごとき、鮮烈さ、みずみずしさを備えて新しく目に映るようになる。そういう状態を私たちは、普通の見え方の「見る」と区別するため、「観る(観の目)」と書いて違いを強調している。

 水晶のごときクリアーさ。
 圧倒的な透徹感(どこまでもどこまでも徹底的に澄み切っているという実感)。
 畏怖の念を覚えるほどの深遠な実在感。
 オーケストラの各楽器を聴き分けるような繊細な色彩感覚。
 細やかさと立体感(空間性)。
 生命感(生きているということ、そのもののダイナミックな実感)。
 神秘感。
 ・・・・・・・・・・・・・・。
 こうした視覚(体性感覚を含む)の変容が極まると、世界が超精細な輝く粒子で構成され、柔らかに振るえ・揺らいでいる様子までが、ありありと「観える(感じられる)」ようになってくる。優れた芸術家や瞑想を極めた者たちは、そういう光景を実際に日常的に観ているのである。
 燦然と輝く大小の美しい宝玉(プランクトン)が、海中に無数にばらまかれ、天空より降り注がれる聖なるエネルギーが海面から差し込んでくる。
 マンタらが神聖舞踏により、壮大な海のルーン文字のような、生命いのちの模様を海中に描き出してゆく。
 翡翠ジェイド(ひすい)のごとき、インド洋特有の海の質感。
 ・・・・そのように観て・感じながら、武術で戦うのと同じ間合い・気合を使って写真撮影する。それを「帰神撮影術」と、私たちは呼んでいる。すると面白いことに、撮影者の内的経験が写真画面へと反映され、芸術的・呪術的な世界観がリアルに描き出されてくるのだ。

 こうした意識の変容体験は、2007年に始めた本ウェブサイトにおいて常に一貫して述べてきたことであり、そんな時にはどんな感じがするものなのか、五感にどんな変化が起こるか、そして、この状態に到達するためにはどういった訓練が必要なのか、日常生活や人生にいかなるメリットがあるか、危険とその回避方法は・・・等々について、これまでずっと説いてきた。
 興味のある方は、ヒーリング・ネットワーク(1&2)のウェブサイト内各所で、表現をいろいろ換えつつ何度も繰り返し説明してあるので、どうかそちらをご参照いただきたい。他流派では秘伝、奥義として秘匿されてきたような事柄についても、人類の幸福と地球調和のため、ことごとくオープンにして公開している。
 私たちが説いていることに真剣な関心があり、実際に身につけたいと熱望される方々からのご質問に対しては、ウェブサイトにあるメールアドレスにご連絡いただければ、個別に・真摯に対応させていただきたいと思っている。誰でも気軽に参加できる講習会やワークショップ、もっと習いたい・練修したいという人々のための稽古会、専門性の高い研究会なども、現在準備中だ。

 それでは帰神スライドショーである。
 バリ絵画みたいな呪術性に満ちた作品まで撮れ始めた。表面から見たマンタの写真は、これまで多くの人が撮影にチャレンジしてきて素晴らしい作品もたくさん発表されているのだから、写真においては「絶対素人しろうと」たる私の出番などありはしない。 
 が、マンタの精神性や霊性にまで踏み込んだ写真作品となると、寡聞かぶんにして私は知らないし、たとえ他にあったとしても極めて僅少であろう。

 最後に、南島講座を1つ。
 皆さんはココナッツが芽吹いて、あの南島風景シーンを彩るココヤシの姿になってゆくところをイメージできるだろうか?

ココナッツの葉1

 たねであるココナッツが発芽すると、まずこんな風に葉っぱが伸びてくる。

ココナッツの葉2 ココナッツの葉3

 次にこのように切れ目が入り、私たちがよく知るあのココヤシの葉が形作られてゆくのである。

<2022.11.01 山茶始開(つばきはじめてひらく)>