◎内臓は背骨から吊るされている(立位、座位)。「胃が重い」とは、客観的にいうと胃が背骨を引き下げている状態を、主観的に述べたものだ。それがわかれば、「胃の重さ」をいやす道が自ずから拓かれる。
◎ヒーリング・タッチで腹を下から深くなで上げていき、腹からのタッチを内臓〜背骨と及ぼし、胃とそれに連なる背骨を物理的に引き上げる。・・と、胃の重さがたちどころに消え失せてしまう。手が腹をゆっくりこすり上げていくのに少し遅れて、背骨(椎骨)が1つ1つ内側から引き伸ばされるのを、受け手はハッキリ感じるものだ。
しっかり内臓をストレッチしておいて、静中求動でレット・オフ。これはヒーリング・ストレッチの一法だ。
数十秒の施術で胃の重苦しさがきれいさっぱり消え失せることも珍しくない。慢性の胃病ではもちろんこうはいかないだろうが、しかし確実に軽くはなる。胃に限らず、腹中の内臓すべてに対して、ヒーリング・ストレッチで同様に働きかけることができる。
◎背中側から胃にアプローチすることも可能だ。
背骨の特定部分(そこから胃と脊椎神経が連絡している箇所。第5胸椎から第9胸椎)を左右から、両脇の筋肉ごと両親指で柔らかくはさみ込み、親指間を<凝集→レット・オフ>。筋肉をクッションのように巧みに使い、背骨内部にオフの波紋を送り込んでいく。肋骨の溝に沿って力を使うことがコツだ。
うつ伏せになっている受け手は、まるで胃が占めていた空間がスーッと消えていくような感覚と共に、みぞおち周辺が床により近づいていくのを感じる。胃がリラックスし始めた証だ。これは、脊椎神経に<凝集→レット・オフ>の波紋を響かせ、神経的に胃の緊張を緩めていく術(わざ)だ。
これも実に壮快で気持ちいい。背骨全体に満遍なく行なえば、内臓全般が活性化していくのがありありと感じられる。
こういう修法がヒーリング・アーツにはいろいろある。安静・食養・排泄の3大ケアをベースとして、各種の内臓活性法を適宜活用しつつ、熱鍼法などもクロスオーバーしていけば、大抵の慢性病は治癒してしまうのではなかろうか?
◎ブロックとはどんなものか、実際に触れ合ってみたいと真剣に思うのであれば、床(最初は布団かベッドの上が良い)の上に腹ばいになり、その腹の下に自分の握り拳を(腹に向け)突き出して敷いてみるといい。ソフトボールを使うと手が傷まず便利だ。そして全心身を引力に委ね、任せて脱落する。リラックス。呼吸を止めない。拳(またはボール)は、腹と垂直に向かい合うよう注意する。また、ボールと腹が(ヒーリング・タッチのように)密着するように。
強烈な痛みを感じる塊、しこりがどこにも感じられない人は、小さな子供とか心身修養の練達者などを除き、ほとんどいないだろう。その、ゴロゴロした腹中の塊が、ブロックの一例だ。
ブロックには微妙・巧妙な形態のため外側から簡単には感知できないようなものもある。しかし、この腹中に散らばり絡まっているブロックの大半はかなり大きなものなので、誰でも容易に確かめることができる。
毎日チェックすればやがてわかるが、体調がすぐれない時や精神的な悩みを抱えている時、ブロックの痛みはより強く、不快なものとなる。つまり、腹も凝る、ということだ。
右脇腹に拳を敷いているにも関わらず、なぜか腹の左側に強烈な痛みが走るとか、腹ではなく背中が痛くなるなど、腹に熱心に働きかけていくと各人各様の面白い現象が色々発見できる。
「腹中一物もなし」という言葉は、これらのブロックが1つも存在しない、腹中清明の心身を指す。「腹黒い」とは、これと逆のブロックだらけの凝り固まった腹をいう。
どうぞ探ってくださいと腹を他人に差し出し、平然としていることが、読者諸氏にはできるだろうか?
◎腹の下に拳(またはソフトボール)を敷き、できるだけゆったり深く呼吸することを数十秒〜数分継続する。しかる後に反転して仰向けになれば、かなりの開放感を腹中に感じるだろう。
これがわかるようになった人は、毎朝晩、寝床の中で腹部の数ヶ所に行なうことを習慣にするようお勧めする。数日もたたないうちに、健康増進を実感し始めるだろう。夜、寝つけない時は、同じ要領で背中にボールを敷けば、心地よいリラクゼーションが背中から全身へと拡がり、眠りが訪れやすくなる。
◎この修法を、私は約十年間研究・実践してきたが、今でもまだバージョンアップし続けているのだから、修法(マナ)というものは本当に奥が深い。水平次元の応用的展開のみでなく、垂直次元の質的変容も起こりつつある。どこを強く押し揉まれても気持ち良さしか感じない腹(肚)を体現している私でさえ、まだまだ働きかけるべきブロックが残っているということだ。腹のブロックというものがどれだけ根深いものか、おわかりいただけると思う。
つい先日も、腹部の奥深くにある微妙なブロックに直接たまふりを起こす修法が、超越的に示現した。早速妻に伝授し、2人で時折気持ちよさに叫び声を上げつつ、数時間夢中になって楽しく実践した。
人間というものはこれほど気持ちよくなれるものなのか・・・・大げさでなくそう感じた。私たちは、これまで数え切れないほどそういうヒーリングのピーク体験を重ねてきているが、解放の実感は毎回異なっている。そして回を重ねるごとに深く、高くなっていく。
あまりの健康感、爽快感に思わず叫び声を上げたことが、あなたの人生の中でこれまでいく度(たび)おありだろうか?
◎ヒーリング・アーツは、先人たちの優れた叡知に敬意を払い、先人たちが拓いた流れ(流儀)からも生命の水を汲んでいる。
が、私は外側から来た知識ではなく、自らの裡より湧き溢れ来る内的叡知についてのみ語っている。借り物ではなく、私自身が(再)発見したものだ。即ち、体験が常に先行している。
◎私が受け取りつつある修法は、いずれも深甚なる奥深さを備えた身体的叡知だ。身体方面からアプローチして魂を揺さぶり、霊的ヴァイブレーションを起こしていく。これが<たまふり>だ。たまふりとは、魂が喜んで楽しく踊ることだ。
◎<道>とは、歓喜の流れだ。無限に充填するたまふりの爆発だ。
歓喜のヒーリング・エクスプロージョンは、「今」、「ここ」に直ちにある。意識の波長をただ合わせさえすれば、たちまち共振が起こり、たまふりが「エクスタシー(楽)」となる。
◎天空より大地を一望するイーグルのヴィジョンをもって、私は地上から蒼穹(そうきゅう)を視野に収める。徹底的に禊祓われた心身は大空一杯に溶け拡がっていくと同時に、宇宙全体が腹中にスッポリ納まってしまったような、不可思議な超越境が忽として現出する。天空そのものが荘厳なる神の大聖堂と化し、たなびく雲は神秘の輝きに彩られる。いにしえ、人々が天を神そのものと観た心情が、私にはダイレクトに伝わってくる。
<2009.02.23>