Healing Discourse

ヒーリング随感4 第5回 龍宮拳伝授

◎引き続き、先般天行院で行なわれた龍宮拳伝授会の模様を、このまだ若く拙[つたな]い道に誠実な関心を寄せてくださる方々のため、ご紹介する。
 伝授会といっても、現時点では、友人らが集[つど]っての親睦会、稽古会を兼ねたものなので、私のフランクな態度・姿勢はどうかご容赦いただきたい。
 現代版郊外仙人みたいな生活を十数年継続してきて、その間沈黙の時間が圧倒的に多かったため(何週間も、妻以外の人間と口をきかないことなどしょちゅう。お互いの芸術創造に熱中している間、夫婦間の会話が何日も途切れることもしばしば)、まともな話し方というものを、どうやら私はすっかり忘れてしまったようだ。電話をかけるのもおっくうに感じる。携帯電話も持ってない。
 かつて私が足しげく通っていた頃、沖縄の西表島[いりおもてじま]には変わり者の有名人がたくさんいて、中には人里離れた山中や海辺の洞窟で長年原始生活を営んでいる者さえいた。
 世の中には変わった生き方もあるもんだなあ、と当時まるで人事みたいに考えたものだが、自分自身がその変わり者たちの仲間入りを果たすことになろうとは!

◎ムービー1 波紋の手合わせ
 今回ご紹介するのは、伝授会2日目の映像だ。
 撮影はすべて妻の美佳が担当しているが、ここ最近、いい感じに撮れるようになってきた。今回も龍の台[うてな]で足から全身を調律しながら撮影したことが功を奏したか、得られたムービーを観の目で観ると、画面に横溢し躍動する波紋が如実に感じられる。
 妻は出来上がった動画を観て、海の中で波に揺られているかのよう、と表現した。まさに、私たちが昨年エルニド(フィリピン)やパラオ、シパダン(マレーシア領ボルネオ)の海中にて味わった、「あの」感覚であることに、ほかならぬ私自身が一番驚いている。
 場面は、突然伝授会が始まったところ。私が指導する場ではよくあることだ。

 動きの質が、前日とはすでに違うことがおわかりだろうか?
 より細やかに、より精密に、より軽やかに、より滑らかになっている。
 私もそうだし、参加者1人1人もそうだ。
 こういう状態になって全員の心身の調律が整うと、天行院の空間が一気に濃密になる。聖なるものの感触が充満し、超精細に、エクスタティックに振るえる。

◎ムービー2 波紋棒稽古1
 伝授会の真っ最中や休憩時間中に、新しいマナが顕現することもよくある。
 私は何も考えてない。何かを言おうとか、教えようなどとも思ってない、何をしようとも一切しない。
 ただ、棒をうやうやしく支え受け、感じ、マナを込め、瞑想的態勢に入る。
 ・・・すると、自然に「こと」がなされ始める。
 私はレット・オフにすべてを委ね、命をあずける。

◎ムービー3 波紋棒稽古2

 その場でどんどん熟達が起こり、新たな術[わざ]が無限に湧き出る。
 これが私の言う「マナの顕現」だ。
 永遠の生命を舞うこと。
 その動き自身の裡に不死性への扉がある。
 とにかく、これは無性に楽しく、気持ちいい。

<2012.02.22 土脉潤起(どみゃくうるおいおこる)>