Healing Discourse

第27回 龍宮館完成間近

※[ ]内はルビ。

◎広島の今年の紅葉[こうよう]は素晴らしかった。街路樹も、山々も、色鮮やかに染め上げられ、天地もまた何事かを祝い寿[ことほ]ぐかのごとし。
 先日、宮島の紅葉谷[もみじだに]で帰神撮影してきた。読者の皆さんと感・動を分かち合いたい。

◎前回に引き続き、龍宮館内部(一部)をご案内しよう。

◎龍宮館整理を手伝いに来てくれた女性を歓迎するため、薔薇の花びらをいっぱい湯船に浮かべた。浴槽は、ぴったり密着すれば大人が3人並んでのびのびと脚を伸ばせる広さがある。女性たちと一緒に入っていちゃつく(=過剰に触れ合って仲良く戯れること)と楽しい・・・のだが、いかんせん、熱い湯に弱い私は、長く入り続けることができず、すぐ風呂から上がってしまう。

『楽園の泉』 帰神撮影:高木一行 2012.11.07
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◎・・・などと、龍宮館第1期工事の完成を喜び祝いながら祝祭の日々を送っているうち・・・「第2期(門扉、フェンス、サンルーム)は専門の工務店に一任しよう」という話にいつの間にかなり、実際に工事が始まってみると速い、速い。滞りなく、よどみなく作業が進んでいき、あっという間に完成目前となった。
 前々回で述べたサンルームの問題も、私のちっぽけな意向(庭のトカゲが云々)など粉みじんに吹き飛ばされてしまって、あたかも超越的な意思に基づくかのように、サイズも形も位置も、自ずから決定された。
 龍宮館プロジェクトとは、資金ゼロから始めて<祈り>の力でどこまでやれる(物質化できる)か、という一つのチャレンジ&実践だったわけだが、「想い」を実際に現実化するコツ[ナック]は、内破[インプロージョン]にある。
 ヒーリング・アーツにおいて静中求動(形を崩すことなく、完全な手放し・全的委任状態で、待つこと)でレット・オフを導く際にも、内破が起きている。
 肥田式強健術で準備動作と本運動との間に呼吸停止を置くのも、内破によって時空(感覚)を反転させるためだ。
 呼吸停止の要領は・・・・・、息を「どこ」で止めるか、にある。大半の人は、鼻や口や喉や胸や、あれやこれやに力を入れ、力みで栓をするようにして息を止めている。
 そういう止め方では、内破は決して起こらない。おまけに、身体にとっても精神にとっても、有害だ。

◎テレビの動物番組などで活躍されていた動物学者の千石正一[せんごくしょういち]氏が、今年始めに亡くなっていたことを、つい最近知った(享年62歳)。
 20代前半に東京で暮らしていた頃、大きな影響を受けた人たちの1人だ。東南アジアから千石さんのために珍しい蛇を持ち帰り、非常に喜ばれたこともある。
 ガンとの壮絶な闘病生活の中で口述されたという遺著『つながりあういのち』を入手し、直ちに読了したが、世界各国のフィールドを駆け巡り、自然や生き物たちと触れ合ってきた千石さんもまた、「地球は病んでいる」との結論に達していた。
 上掲書のあとがきより、一部を引いてみよう。

 目の前に「死」が現われたとき、物の見方がほんの少しだけ変わった。
 まず、自分と同じく「死」に近い状態にあるものに敏感になった。
 そして、気づいたことがある。
 それは、「地球も病気だぞ」ということだ。
 地球が急速に病んでいることを、ひしひしと感じるようになったんだ。
 自分が弱っていると、
 同じように弱っている地球の状態が今まで以上にわかるんだね。
 地球は今、死にかけている。
 すぐになんとかせな、あかん。
 自分が似たような状態に置かれているからこそ、よけい強く感じる。

<2012.12.04 橘始黄[たちばなはじめてきばむ]>