Healing Discourse

第28回 幕間[まくあい]劇 人も踊り猫も踊る

◎龍宮館がほぼ完成に近づいたと聴き、友人2名が郡上八幡[ぐじょうはちまん]の山の幸を手土産に、訪ねてきてくれた。
 早速、料理の腕を振るって・・・と書きたいところだが、そんな「腕」なんてそもそも私にはない。ただ、ヒーリング・タッチにて誠心誠意を込めつつ、全身全霊で素材たちと向き合うだけ。

◎まずはスターターから。
 土産にいただいた「みたたき」(生の山鳥の肉を骨ごと細かく叩き酒につけ込んだ郡上八幡珍味)、パラオより持ち帰って秘蔵しておいた「ワス」(魚の濃い煮汁をさらに煮詰めたペースト)、それからまだ日が浅いが先日浸けたアジケーナシムン(第26回参照)を少々。
 ヒーリング・アーツで味覚を粒子的に開きつつ、普段滅多に口にすることのない変わった味わいを満身で堪能。

◎次は、鹿肉の刺し身。
 酢醤油に、好みでニンニク、ショウガ、ネギ、紅葉おろしなどを加えていただく。
 あっさりした、と同時に野趣溢れる味だ。野生の活力のようなものが身に乗り移ってくる。

◎元気がもりもり出てきたところで、友人たちにも手伝わせつつ、メイン料理の牡丹鍋の準備に取りかかる。
 清流で有名な郡上八幡の山中で獲れた猪の最上級ロース肉、そのうま味を最大限に引き出すには、多少の手間を惜しんではならぬ。
 まず、以下の材料をハンドミキサーで丁寧にペースト状にし、それをベースに鰹節と昆布でとっただし汁(面倒なら市販のだしの素で結構)で伸ばした。

 栗甘露煮(汁も使用)
 酒
 味噌(今回は麹みそ、白みそ、赤みそをブレンド)
 もろみ
 みりん
 にんにく(すり下ろし)
 しょうが(すりおろし)
 山椒(たっぷり使うのがポイント)

 だし汁が沸騰したところに、肉(猪やクマなどのいわゆる「山肉」は、家畜の肉と違って長時間煮込んでも硬くならず、かえってうま味が増すため、最初から投入)、ささがきゴボウ、白菜、しらたき、キノコ数種、焼豆腐などをぶちこみ、最後に春菊を乗せてできあがり。
 直ちに鍋を囲み、各自無言にて黙々といただく。
 絶美なり。
 写真なんか悠長に撮っている暇などなし。
 あっという間に食べ尽くし、全身から汗が噴き出てきた。外では寒風が吹きすさび、時折雪片がちらついているというのに、龍宮館内部はまったく別世界の如き快適さ、穏やかさだ。

◎妻が食後の後片づけをしている間、2階のアトリエに友人たちを誘[いざな]い、部屋を暗くして、帰神フォトの未発表最新作を一緒に観照。
 神(女神)の現身[うつしみ]を目の当たりにするがごとくの、宗教的とすらいえるような神聖さを伴う感・動体験の連続に、驚きと感嘆の声が幾度も漏れていた。
 その後、再び1階のリビングへと移動し、食後の腹ごなしに龍宮拳の稽古を(ごくごく軽く)つけることになった。そういう展開も予測して、ちゃんと着替えを持参したというから用意周到だ。
 ここ最近、リノベーション工事のあれやこれやに時間をとられて全然練修してなかったにもかかわらず、ヒーリング・アーツで意識モードを換えれば、たちどころに新たなマナ(術)が次々と、流れるように、顕われ出てくる。

◎続いてスライドショーを。

<2012.12.21 冬至>