スライドショー2-26 <いのちの炎(Flame of Life)> 撮影:高木一行 by Kazuyuki Takaki 2011.08.06

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ライナーノーツ

高木一行

いのちの炎(Flame of Life) 撮影:高木一行 by Kazuyuki Takaki 2011.08.06

 ABD(Atomic Bomb Dome、原爆ドーム)を聖地であると私がいう理由が、毎年8月6日の彼は誰時[かはたれどき]にここを訪れてみれば、すぐわかる。

 驚くほどたくさんの、様々な国々からの巡礼も含め、人々が、この日、この時、ABDの元に粛々として、ウキウキと高揚して、神秘の感に打たれつつ、集まってくる。
 皆、何らかの「祈り」を携えた人たちだ。
 逝きし者へ捧げる追悼の祈り、平和への祈り、希望の祈り、いろんな祈りが、あまたのともし火のひとつひとつに記されている。
 人々[ピープル]は、自らのその祈りを、炎に込め、託し、ドームに捧げ、海の彼方へと送る。海のむこうの楽土[ニライカナイ]を直感して。
 私たちの身体には、明らかに海洋民族の血が流れている。

 人が闇に溶け込んで精霊[しょうりょう]と化し、大勢の死者の群れが黙々と黄泉[よみ]の国へ向け歩んでいく。ふっと、そんな幻惑にとらわれそうになる。
 送る者が送られる者へと換わる、不思議な反転感覚。
 日本の夏の夕べ、世界に満ちるあの死者の領域と重なり合うような陰[かげ]の質感に、私は子供の頃からずっと魅せられてきた。

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 ヒーリング・ディスコース『通身是手眼第1回(末尾の部分)も、是非ご参照いただきたい。
 2年前の8月6日のABDの模様をご報告したものだが、当時はあの添付の写真のようなものを撮るのが精いっぱいであったことを思えば、私も妻に負けず劣らず、かなり革新的な変容を、カメラ道において体験しつつあるといえる。

 ちなみに、例年と比べ、今年は外国人の姿が非常に少なかった。
 ヒーリング・フォトグラフ・アーティクルの『エルニド巡礼記・余話』でもやんわり注意しておいたが、「日本は危うい国」というイメージを諸外国に向け発信し続けていると、念がかかって現実化するのと同じ現象が、国レベルで、しかもマイナス方面で起きてしまうぞ!
 日本は、楽しかるべき旅行の目的地になぞとても選べぬアブナイ場所・・・そんな風に全世界の人間が信じれば、日本は本当に危なくなるだろう。

 直ちにヒーリングが必要だ。民族レベルのヒーリングが求められている。
 ゆえに私たちは、ヒーリングの本質たる生命の感・動を、インターネットを通じ広く人々と分かち合っている。

<2011.08.09 涼風至[りょうふういたる]>