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高木一行
マヤをリビングに慣らし始めた翌日。
マヤが猫じゃらし(ヒモの先に羽がついた、やや高度なもの)で遊ぶ姿を妻が帰神撮影しようとしていたら、遊び場のすみに置いてあるハンモックで寝ていたスピカの目が光った。
そして、ごろっと仰向けになってハンモックの支柱にじゃれついたかと思うと、もうたまらぬとばかり、猫じゃらしに飛びつき遊び始めた。スピカがそんな風にして熱心に遊ぶ姿を、もう何年も観たことがなかった。
仔猫を新しく迎えると、年取った先住猫が若返るという話を時折耳にするが、どうやら本当かもしれない。もう一頭[ひとり]の先住猫のマナも、最近しょっちゅう「仔猫化」している。
圧倒されて観守るマヤ。
スピカがキャット・タワーに場所を移し、楽しそうに遊んでいる様子に、マヤもどんどん引き込まれ近づいていく。
スピカとマヤの距離が、急速に縮まる。
が、あんまり近づきすぎると、スピカが怒った表情でシャーッと威嚇し、ストップをかける。まったく母親のマリアそっくりだ(この母猫については、ヒーリング・ディスコース『ヒーリング随感3』第11回をご参照いただきたい)。
でも、真の怒りはまったくこもらぬ形式だけの威嚇であり、マヤの方もちょっと首をすくめる程度で、全然怖がっておらず、すぐまた接近を試みる。
再び、シャーッと叱られたが、今度はもっと近くまで寄ることをゆるされた。
そんな風にして、短い時間ではあったが、もう一緒に遊んでしまった!
まだまだ距離やすれ違いはある。が、二頭[ふたり]の心が次第次第に近づいていき、ぶつかり合い、共鳴し始めるプロセスが、不思議なことにハッキリわかった。
猫の視線に注意しつつスライドショーを観れば(時折かしわ手の音を鋭く響かせつつ)、あなたも猫の心ともっと共振できるようになるはずだ。
その後、マヤに遊び場を譲るかのように、スピカはさっとよそへ行ってしまった。マヤは早速、スピカの真似をして遊び始める。
これ以降のマヤはますます大胆となり、あちこち自由に行ったり来たり、よじ登ったり、飛び降りたり・・・。かと思えば、段ボール箱ベッドでおやすみ中のスピカにちょっかいを出して猫拳のパンチ1発で軽く追い払われたり・・・・。
だが、ひやひやさせられるような場面は一度もなかった。
夕刻、西側のキャット・タワーで夕日を浴びくつろぐスピカの隣に、よそで寝ていたマヤを連れていってそっと置いてみたら、スピカはちらっと観ただけで警戒のそぶりすらみせなかった。
<2012.01.21 雉始鳴[きじはじめてなく]>