Healing Discourse

龍宮道メモ 第十五回 対極主義3

2023.10.28

 第10回龍宮会(2023.06.09~11)で撮った動画をご紹介してゆく。
『龍宮道メモ』第四回の動画11で、「脇のABを意識化」することについて説いた。直立した体勢にて、脇の折れ目に正確に沿って手を差し込む。折れ目の端の前をA、後ろをBとすると、 床からAまでの距離は床からBまでの距離よりも長い(Aの方がBよりも高い)。この事実を頭で考えるのではなく、身体そのもので感じる(意識化する)時、突如として全身丸ごとの姿勢がガクガクッと急激に変化し、脇や肩を中心として身体内に「流れ」が生じ始めるだろう。
 なぜこんなことが起こるかといえば、大半の人が「脇ABは同じ高さである」と仮想し、その仮想に基づき身体を使っているからだ。これを仮想身体と我々は呼んでいるが、その仮想が破れて現実のリアルな身体が現われる際には、ある種の衝撃を誰もが覚えるようだ。
 たったこれだけのことだが、真にわかれば身体の存在感も動きの質も短時間で飛躍的にバージョンアップする。が、それは実は「変容」の第一歩に過ぎず、各方面へと応用・展開してゆく方法はいくらでもある。

動画46 『脇のAB 応用1』 撮影:2023.06.10 於:天行院

フルハイビジョン画質 03分57秒

 上記の動画でご紹介している練修に慣れたら、自分自身で様々な応用を試してみるといい。
 例えば、直立して前屈し、上半身がぶら下がっている体勢にて、脇ABの位置関係を調べてみる。・・・と、今度はBの方がAよりも高くなっているはずだ。普通に立っている時とは逆になっている。
 もう一度普通に立った状態で改めてチェックすると、やはりA>Bである(この場合のA、Bは床からの距離を指す)。ということは、前屈してゆく過程のどこかでAとBの高低差が入れ替わっているに違いない。それでは、脇に手を差し込み、ABの関係性を常に感じながら、ゆっくり前屈していったり、元に戻したりしたらどうなるか・・・。
 こんな風にして、触覚に基づきつつあれこれやってみれば、確かにABの高さの逆転が起こっており、それを意識化できれば動作に伴って「脇が波打つ」のまでが感じられるようになるだろう。その脇の波は、これまでもいつも起こっていたのだが、無意識的で頑なな仮想により、現にあるのに感じられない状態に陥っていたのだ。
 この他、太極拳とか肥田式強健術などをやっている人は、一つ一つの型における始まりと終わり、そして中間の各所で停止して脇AB(の位置や関係性)を調べたり、脇ABを意識しながら型を行なってみたりすれば、かなり楽しめるはずだ。

2023.10.30

『龍宮道メモ』第三回、動画8でご紹介した手法の応用。
 人の身体を「開く」ことができれば、方向性を逆転させ「閉じる」ことも可能となる。ただし、強く急激に閉じると、動画中でも述べているようにアンチ・ヒーリングとなる可能性もあるので、面白半分に行なうようなものではないことを銘記していただきたい。

動画47 『打拳のAB』 撮影:2023.06.10 於:天行院

フルハイビジョン画質 04分06秒

2023.11.03

 心身の調律を主目的として、武あるいはヒーリングを共に舞ってゆく。少々長いので、2回に分ける。
 指先の第一関節のみを使って波紋を発生させ、わざをかける場面が出てくるが、私が師事した岡本正剛先生(大東流合気柔術)が得意とした手法の一つであり、オマージュとして示した。
 第一関節だけを曲げ伸ばしできるようにする方法などを特に習ったわけではないが、古参の弟子たちはそれぞれ独自の工夫により、その程度のことは自在にできるようになっていた。

動画48 『稽古風景1』 撮影:2023.06.10 於:天行院

フルハイビジョン画質 05分04秒

2023.11.05

動画49 『稽古風景2』 撮影:2023.06.10 於:天行院

フルハイビジョン画質 04分33秒

<第十六回へ続く>