Healing Discourse

ヒーリング随感5 第12回 スピリチュアル・タバコ 高木一行

[ ]内はルビ。

◎かつてしばしば尋ねられた問いの1つは、「煙草を吸うことは心身修養の妨げになるか?」というものだ。その後、世界的な嫌煙運動の高まりと共に、こうした質問を受けることもなくなったが。
 私自身は、一般に市販されている煙草を口にしたことはないし、今後もそうするつもりはない。
 ところが、南北アメリカ先住民の伝統においては、古来よりタバコは神から人間に与えられた特別な贈り物とみなされてきた。それは物質世界と神々の超越的世界との間に横たわる深淵に橋をかけるものであり、アメリカ大陸のシャーマニズムにおいては、タバコは絶対に欠くことのできない最重要のファクターなのだ。
 タバコの煙によって祝福を与えたり、身体から病気を抽出したりすることを始めとして、オーラの浄化、スピリットの召喚、あるいは呪詛のエネルギーを送るなど、枚挙に暇[いとま]がないほどの様々な応用法がある。

◎30代の終わり頃、シャーマニックな世界での探究を推し進める過程で、私も必然的にこのハーブに目を向けざるを得なくなった。
 タイミングを計ったかのように、アマゾンのシャーマンが使う特別なタバコの葉(注)が入手可能となり、ここに自らの心身を俎上[そじょう]に載せての徹底的な実験が開始されることとなったのである。
 私が当時採[と]った手法は、喫煙のみでなく、タバコの葉からドリンクを造ってそれを飲むという、一見無謀なものも含まれていた。だが、これらの実験によって私は害を受けるどころか、心身の健康はますます増大し、霊的修養においても一大躍進を遂げることができたのだ。
 さらに、タバコを種から栽培しながら、そのスピリットとの絆を深めていくうちに、タバコに秘められた奥深い世界が、徐々に私の前に開示されていったのである。 

注: 儀礼に則りオーガニックに栽培されたもの。市販の煙草とは品種が異なる。

◎タバコは霊的探究にとって有害か、否か? 
 単なる嗜好品として無意識的なアプローチを続ける限り、喫煙は自他の健康を害し、周囲にネガティヴな波動をまき散らす有害な行為でしかない。
 しかし、植物のスピリットに対して敬意を払いつつ、謙虚に「学ぶ」という姿勢をもってタバコと共に歩むなら、修養者は素晴らしい神秘の世界へと導かれることだろう。
 人間のマインドはずる賢い働きをする。
 私がタバコについて述べているのは、喫煙者たちに格好の口実を与えるためではない。
 私が煙草を無条件に容認し、それを推奨しているわけではないことを覚えておいてほしい。
 だが同時に、すでに煙草を手放せなくなっている人々に向かって、私はそれを無理やり落とすよう強いたりもしない。煙草を一方的に禁止するような、そんなありきたりのやり方は私の流儀ではない。
 喫煙という行為にスピリット(魂)を注ぎ込み、それを霊的修養そのものへと変容させることが、実際にできるのだ。

◎タバコ(Nicotiana)はナス科の1年草だが、「魔女のハーブ」として有名なヘンベイン、ダツラ、ベラドンナ、マンドレイクなども同じナス科に属している。
 タバコには約45の品種が知られているが、そのうちの大部分が人為的な交配によって作出されたものと考えられている。タバコは南北アメリカ大陸最古の農作物であり、その起源は8千年前にまで遡[さかのぼ]れるという。
 タバコには様々なアルカロイド(有機化合物)が含まれるが、最も重要な有効成分はニコチンである。タバコの野生種の場合、作物化された品種に比べかなり濃度の高い(最大4倍)ニコチンが含まれている。よく知られている通り、ニコチンは身体的な依存性を生み出すため、使用量は慎重にコントロールしなければならないだろう。
 私の実験では、内的修養を促進する目的で適宜用いる限り、有害な副作用を引き起こす危険はないようだ。ニコチン中毒にもならなかった。ただし、各種の添加物が含まれている市販の煙草は、この限りではない。

◎シャーマニズムにおけるタバコの使用法には、目的に合わせたくさんのメソッドがある。最も良く知られたポピュラーな方法は喫煙であるが、その他にもドリンクにして飲む(鼻から飲むやり方もあり、これはちょっとキツイ)、スナッフィング(嗅ぎたばこ)、なめる、時間をかけて噛みながら汁を吸う、食べる、さらには浣腸(これが一番キツイ)など、実に多様な手法が知られている。
 いかなる形であれ、タバコを消化器官に入れるというのは無謀な行為のように思えるかもしれない。それも、「ちょっと一口飲んでみる」といった生易しいものじゃない。タバコの葉を半日ほど水に浸けておくと、コーヒー色をした物凄い味と匂いがするドリンクが出来上がるのだが、それをコップに1〜2杯分、一気に飲み干すのだ。鼻から飲む場合は、静かにお上品に流し込もうとしたのでは全然ダメで、ズーズー大きな音をたてながら鼻からすすり込むようにする。
 そうした「行」を私は何度も試みて、非常に良好な結果を得た。タバコ・ドリンクを飲んだ直後は、強い眩暈[めまい]や吐き気を覚えるが、しばらく作用を全身に浸透させた後、自然に起こってくる嘔吐に身を任せると、その後で非常に深い浄化の感覚がやってくるのだ。
 私の指導の元で同様の実験をした人たちも皆、魂の奥底までみそぎ祓[はら]われて澄み渡ったかのような、深遠な浄化体験を報告している。
 これらは十数年前の実験・実践の話であり、それ以降タバコのスピリチュアルな世界を訪れることはなくなったが、そこで学んだ禊[みそぎ]・祓[はら]いの本質は、現在のヒーリング・アーツにも様々な形で活かされている。

◎さて、龍宮道である。
 龍宮道研究会も、いつの間にか第7回を迎えるに至った。
 いつの間にか、といえば、ちょっと前まで4つだった密珠が、久高島巡礼を経て、ふと気づくと14、16、いや18だったか、・・・とにかく、どんどん増えていっている。
 今回は、研究会初日の模様を撮影したムービーを2本、ご紹介する。原理編は次回に。
 波紋が、より複雑に、多層的になっていることがおわかりだろう。 

<2013.05.11 蚯蚓出(みみずいずる)>

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