文:高木一行
◎手と手を様々なやり方で烈しく叩き合わせたり、足同士を打ちつけたり、あるいは手と足とをぶつけ合ったり、体のいろんな箇所を叩いたり、そういうSTM(自分の意思とは無関係に自律的に発生する身体調律動作。Spontaneous Tuning Movementの略)が、冬の終わりから春の始まりにかけ良く出る。まるで身体そのものの意思表示であるかのように。
冬場の寒気によるこわばりの蓄積を体がほぐそうとしているのだろうが、そんな時は柔らかなタッチでは効果が薄い。もっと強烈な(武術的な)力を使い、手の骨格パーツを1個1個バラバラにするつもりで、叩き、打つ。
龍宮道では、叩き打つ時、力抜きを使う。「虚」を、打ち込む。
そんなことが、レット・オフを使えば、できるようになる。
◎練修法はいろいろあるが、一例をあげるなら、少しだけ力を入れた(粒子状に凝集した)片手の掌を、もう一方の手で軽くリズミカルに叩いてゆく。
受ける側の手は、頃合いを見計らい、打ちつけてくる衝撃を感じながら、ゆっくりゆっくり、掌の凝集をレット・オフしていく。
すると・・・・・レット・オフそのものに、衝撃が響いてくる。手の中に衝撃が吸い込まれるような体感が起こる。この原理を使えば、他者からの打撃をクッションのように吸収・消化できるようにもなる。
◎さらに、打つ側の手も、凝集→ゆっくりレット・オフ。
コツは、手で打つことに対する注意と、その手をレット・オフしてゆくことへの注意とを、シンクロさせること。それにより、打つこととレット・オフがクロスオーバー(交乗)される。
足すのではなく、かけ合わせる。掌から「マイナスが発せられる」感じになってきたら、正しく進んでいる証だ。
この感覚が、力抜きで打つ際の基本となる。
◎やや熟れてきたと感じたなら、今度は打つ手と受ける手と、両方を同時に、均等に、凝集→レット・オフしていく。
レット・オフ×レット・オフ。
生命力の波紋と波紋がぶつかり合い、弾ける。
◎力抜きで打ち、力抜きで受けることをよく練修しておけば、武術的シーン(武術の練修とか試合、または実戦など)で必ず役立つ。
元気が有り余っている者は、いろんなものに、いろんなところを打ちつける動作で、レット・オフの修練を重ねていくといい。
体当たり、大いに結構。大木とか頑丈な塀にぶつかってゆくのも楽しい。
ただし、ゆっくり・柔らかく・粒子的に、から始めることを常に忘れずに。
◎力抜きについては、「ヒーリング・ムービー」其之二も参照のこと。その実際の様子を動画で観られる。
◎刑務所内でレシピを思いつき、出所後に試して、特に女性たちに好評なのが、アボカド・ムースだ。パジャマ・パーティーの女子会にも、このわざがあれば、特別に招待してもらえる(かもしれない)。
◎第十回や第十二回でご紹介した、オオトカゲのオットちゃんが猫用ハンモックでバスキング(日光浴)している写真を見て、人間がそこに置いて写真を撮っているのだと、早まって勘違いした人がいる。
そうではなくて、オットちゃんが自分の意思でハンモックに乗り、光の当たり具合によっては自分でハンモックを立て、日光浴するのだ。
その様子を何とかムービーに収め、皆さんと分かち合いたいと思い、カメラの準備をして毎日待機したのだが、そういう時に限ってなぜかなかなかやろうとしない(呵々大笑)。かと思えば、今日はもうないかと思ってちょっと目を離した隙に、いつの間にかハンモックが立ち、大きなトカゲがぶら下がって寝ていたりする。
それでも何日か粘って、オットちゃんが日光浴を始める決定的場面をついに捉えた。古いビデオカメラを使っているので画質が粗いが、ご了承の程を。
日光浴の際は、光を最大に浴びるため、胴体が小判型いや大判型に平たく広がる。
<2021.05.27 紅花栄(べにばなさかう)>